やきもち
今回はヒロイン視点です。
お昼休みになりみんなは購買に行ったり友達と一緒に食べるために机をくっつけたりしている。
そんな光景を尻目に私は教室を出る。その手にはお弁当が握られている。
自然と鼻歌がでるくらいに上機嫌だ。
私は今先輩のクラスに向かっている。別に一緒に食べる約束をしているわけではないが誘えば一緒に食べてくれるはずだ。
隣で一緒に駄弁りながらお弁当を食べている光景を思い浮かべるだけで自然と足取りは軽くなる。
先輩のクラスがある階につきクラスを探す。何個か教室を通り過ぎたところで見つけた。
いきなり現れたら先輩はどんな顔をするのだろうか。想像しただけで楽しみだ。
「せーんぱい!」
教室のドアから顔をのぞかせ呼ぶ。予想通り先輩がいる。
「どうしたんだ?」
「一緒に食べましょ!」
「いいぞ」
先輩もお弁当を持ち教室から出てくる。
「どこで食べます?」
「今日は天気もいいから屋上でいいんじゃないか?」
「賛成ですっ!」
目的地も決まり二人で歩いていると突然後ろから声をかけられた。
「あー青井君、ちょっといいかな?」
二人して振り返るとそこには女の人がいた。どうやら先輩と同じクラスの人らしい。
私はその人に挨拶をして二人の用事が済むまで横でおとなしく待っていた。
だが一つ気になる点がある。女の人の距離がやたらと近い。二人でプリントを見ているのだが肩と肩が触れ合ってしまうのではないかというぐらいには近い。というか触れている。
しばらく待っていると用事が済んだのか女の人が「じゃあね~」といいながら場を後にした。
「お待たせ...ってどうした?」
「先輩、あの人となんかやたらと距離が近くなかったですか?」
「そ、そんなことないと思うが」
「いえ、あります!!」
私は先輩の方に一歩踏み込みグイッと顔を近づける。
「こっちのほうが近いと思うんだが」
「私はいいんです!私だけはいいんです!!」
気迫に押されたのか先輩は「そ、そうだな」と言って少し後ずさりした。
分かっているこれはさっきのあの人に対するやきもちであることぐらい。
でも私という人がいながらあの距離は許せませんね。
「そんな先輩には罰を受けてもらいます」
「それはどんな罰なんだ?」
「屋上に行ってからのお楽しみです!」
屋上につきお弁当を食べながら嬉し楽しい昼休みを過ごした。
その日の放課後に先輩はクラスの男子達からどうすれば女の子とお弁当を食べさせ合いっこできるのかを延々と問い詰められたとかなんとか。