第6話:宇宙への序曲
―アーミン―
「私だ。ゼラーだ。」
ゼラーは城下町の閉め切られた門に向かって声をかけた。
「ゼラー様なのですか?ゼラー様ー。」
門が開いて兵士が一人出てきた。名はトミー。トミー・クライ。彼はゼラーの息子ヒューノの友人であり小さい頃からゼラーに息子のように可愛がられていた。
「おおトミーではないか。」
「ゼラー様、ヒューノ様をお連れしましょうか?」
「いや、いい。あと『様』をつけるのは止めてくれ。出来れば『さん』で呼んでくれないか?」
「はい。ゼラーさん。お城へ行くんですよね?お連れします。」
トミーが先頭を歩きゼラーたちを城へ誘導する。
レンガで出来た家、コンクリートで固められた家、木で出来た家。そんな家が城下町には広がっていて、レンガで出来た家の地区をリュール地区、コンクリートで出来た家の地区をメレン地区、木でできた地区をモクウド地区と呼んでいた。城はリュール地区を越えた所に在る。しばらく歩いていくと城が見えてきた。レンガで出来た大きな城はまさに城塞と呼べるものだった。城門の近くは厳重に警備されていた。警備兵が5人、騎士団の旗を掲げて警備していた。
「ゼラー様が帰られました。」
トミーは警備兵に伝えた。
すると警備兵達は黙りながら敬礼していた。
一行はトミーに連れられて国王の間に案内された。
「国王陛下、ゼラー只今戻ってまいりました。リック王子も一緒にいます。」
ゼラーは国王に話しかけながらリックを前に出した。
「国王陛下!!父上は・・・」
リックは泣きそうになりながら話した。
「恐らく・・・心配するな!!私が君を支えてやろう。」
国王はリックの肩をトンッと叩くと微笑んだ。
「ところでゼラー。実はなA・A・Eがアポロンと戦闘を行うかもしれんのだ。それもこのエンベルトで!!無論我々はアール国王を殺したアポロンと敵対する事になる。つまりA・A・Eに参加するという事だ。そこでゼラー、お前にはA・A・Eがアポロンから奪取したアークという艦でリック王子と共に宇宙へ逃げて欲しいのだ。リック王子はアールの忘れ形見、アポロンからは命を狙われているはずだからな。」
「後ろにいる者たちも一緒でよろしいでしょうか?」
ゼラーは一度後ろを向きリュミンたちの顔を見てまた国王の顔を見た。
「良かろう。行ってくれるのだな?」
「はい。当然です。」
「リック王子と後ろの者たちの命・・・お前に預けたぞゼラー。」
国王の間を後にしたゼラーたちは城の中庭に居た。
それと時を同じくしてA・A・Eのアークがアーミンに着いたとの報告があった。
その報告を受けてゼラー達はアークへと乗り込んだ。
―エンベルト平原―
ここはエンベルト島の中央に位置する広大な平原。岩はほとんどなく見渡す限り緑の草に覆われていた。
星天暦3015年5月19日―
この日ガイア史上第3の戦争が始まろうとしていた。アポロンとA・A・E両軍の部隊が集結した。そして今!!戦いが始まろうとしていた・・・