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プロローグ-お母さんへ-
お母さん。
ごめんな。
知らんかってん。
あの時、お母さんがつけてたイヤリング、古ぅなって色が変わってしもとんや思とった。
もういらんやろて、勝手に自分だけ納得して。
あんなことになる前に、聞いたらよかったなぁ。
お母さん。
世の中、びみょうな色味ってあるんやなぁ。
びみょうな色味が。
「真っ白じゃなくてもええんやで」
その意味が分かるまでに、えらい時間かかってしもた
わ。けどそれが分かった今、うちはめっちゃお母さんに感謝してんねん。ほんまやで。
そういえばお母さん、イヤリングのこと“耳飾り”って
言うてたなぁ。昔はなんか古くさい言い方やなぁ思て好かんかったけど、今うち、耳飾りって言うほうがなんかしっくりくるねん。不思議やなぁ。
大事な耳飾りつけて、行ってくるわな。
お母さん。
ありがとう。