九話 俺のステータス増加量は異常だった
今回も短いです。すみません。
俺は地面に座り込んですぐにステータスを確認することにした。俺はもう驚かないぞ、と思いながら『ステータス』と言った。
だが、俺はステータスを確認して固まった。
山田 涼太
Lv.52
HP 20206.5
MP 199326.5
STR 199826.5
DEF 199726.5
AGI 199326.5
全てのステータスが9倍近く上がっていたのだ。それにキマイラと戦う前はレベルが7だったのに、レベルが52になっている。
俺はバグかな?と思い一度ステータス画面を閉じ、もう一度『ステータス』と言った。
だが数字は何も変わっていなかった。
俺の思考は停止して、しばらく動けなかった。5分程してエリスが全く動けない俺を不思議に思ってか声をかけてきた。
「リョウタ、どうしたの?口を開けたまま全く動かないけど」
全く気づかなかったが俺は口を開けていたようだ。でも、これは仕方が無いと思う。
自分のレベルがキマイラと戦っただけで52になり、ステータスも全て9倍になっている。驚かない要素がないだろう。
俺は何とか声を絞り出しエリスに問に答える。
「...俺のステータスを見てちょっとよく分からなくなっただけだ」
「どういう意味?」
「俺の戦う前のLv.7だっただろ?」
「うん、そだね」
「それが52になったんだ」
「へー、凄いね」
エリスは特に驚いくことなく返事を返してきた。俺は逆に驚いた。レベルが52にもなっているのに全く驚く素振りを見せず、普通だよ?みたいな顔で俺を見ているのだ。
「なんで驚かないんだ?変じゃないのか?」
「全く変じゃないよ。まずキマイラの討伐は
Bランク冒険者が5人で受けるものでしょ?」
「ああ、そうだな」
「Bランク冒険者は大体Lv.30位の人たちが多いのよ」
「そうなのか」
「と言うことは適正ランクは30以上で更には
5人以上で挑むのが普通。それも一体に」
「そうだな」
「そんな強敵をLv.7の奴が1人で倒したらどうなると思う?」
「どうなるんだ?」
俺は頭があまり良くないのでエリスの言いたいことはいまいち分からなかった。
エリスはそんな俺に呆れながら話を続ける。
「たくさん経験値が貰えるのよ」
「まあ、そうだな」
「普通、経験値はパーティーで均等に分配されるのよ。それでも30レベル代の冒険者5人が1体倒しただけで5人全員がレベルが1以上確実に上がるのよ。それをLv.7のほとんど育っていない人が私と合わせて20体倒したら、いくら半分ずつに分けられているとはいえ
Lv.52位なら余裕で行くでしょ?」
「ま、まあ、そうだな」
俺はそこで納得した。どういう事か例を使って簡単に説明すると、ゲームを始めたばかりで最難関のダンジョンに突入して勝てばランクは一気に上がるだろ?という事だ。
まあ、そんなこと出来るのはゲームではチートか課金しているかだが。俺がそんなことを考えていると、エリスが付け足すようにまた話し始めた。
「私ですらレベルが10上がったよ」
「結構上がったんだな」
「うん、そうなの。リョウタのおかげだね」
「そうなのか?それよりもステータス見せてくれないか?」
「ん?いいけど」
エリスは冒険者カードを取り出して俺に渡してくる。俺がステータスを見たい理由は、普通の人ならばどの程度ステータスが上がるのかを確認したかった。今回はレベルが10上がってしまっているが、増えた量を10で割ったらいいだろうと思い見せてもらった。
エリス・フレイア
Lv.61
HP 37000
MP 3300
STR 14000
DEF 10000
AGI 7500
エリスのステータスは前と比べてみると
HPが2000、MPが100、STRが2000、
DEFが2000、AGIが1500増えていた。
MPの増加量は少ないが、これは普通なのだろうか?俺はそう思いエリスに聞いてみた。
エリスの返答は平均よりかは少し少ないかな、だった。
つまり、エリスは物理攻撃派なのだろう。
まあそれは置いておいて、エリスのステータス増加量を見て、俺は自分のステータスの増加量が異常だと改めて認識した。
俺が自分の異常さを再認識した瞬間、エリスがステータスを見せてと言ってきた。
俺は流石にこのステータスを見せるわけには行かないと思った。どう考えてもおかしいステータスだ。こんなステータスを見せたらどうなるか分からない。人間は強いものを怖がり、それを排除しようとする。
ならば俺がこの異常なステータスを見せて、エリスが誰かに言えば、俺を排除しに来る可能性もある。俺は人間同士で争うような無意味な事はしたくない。エリスは仲間だ。信頼はしている。だが、エリスは仲間である前に人間である。さっきもいったが人間なら自分よりはるかに強い存在を排除使用とする。
俺は悩んだ末今は見せないことにした。
もう少し仲を深め、もっと信頼できるようになってから見せることにしようと思う。
そうと決まればどう誤魔化すかだ。
俺は結局適当な言い訳をすることにした。
「今はちょっと魔力を流すのさえ嫌なぐらいだるいから、今は見せられない」
「そうなんだ、残念。というか、魔力を流すのがだるいってさっき自分で見た時流したんじゃないの?」
「いや、それはスキルで見た」
「へー、鑑定スキルもちなんだ」
「ああ、そうなんだ」
俺は取り敢えず今は凌げたな、ど安心する。
しばらく休憩した後、俺達は元来た道を戻り、遺跡を出る。外に出ると日は沈みかけていた。俺はかなり長い時間遺跡に入ってたんだなー、と思った。俺がそんなことを思っている間に、エリスは御者台に座ろうとしていたので、俺は御者台にエリスを呼び止める。
「エリス、ちょっと待って」
「ん?なに?」
「俺も御者やってみたい」
俺は一度は御者やってみたいなー、と地球にいた時から思っていた。理由は楽しそうだからだ。
俺がお願いした直後、エリスは凄く楽しそうな顔になった。そして、俺の方を向いた。
「いいわよ、私が手取り足取り教えてあげるから覚悟しなさい」
「ああ、よろしく頼む」
俺はそう言って御者台に座る。そしてエリスに手取り足取り教えてもらった結果、馬を走らせることが出来た。そして馬を走らせた瞬間脳内に直接
『スキル 乗馬術 Lv.0を取得しました』
と響いた。いつも通りLv.0である。
俺は気にせず馬を走らせる。今回練習無しで馬を走らせなかったのは、念のためである。
いくら努力しなくても平均的にできると言っても、心配である。馬が逃げたり、暴れたりすると大変なので練習することにしたのだ。
そして無事走らせることが出来た。
2時間ほど馬を走らせた頃、あたりが真っ暗になった。今日は月が雲で隠れており、街灯のないこの世界を照らすものはなかった。
俺達はこれ以上走らせては危険だと判断し、
野宿することにした。食事を済ませて俺は寝ることにした。今回の見張り番はエリスだ。
俺はすぐに寝ることが出来た。
朝目が覚めて、エリスに声をかける。
「おはよう」
「あ、リョウタ、おはよう」
と挨拶をして朝食の準備を始める。
そして、朝食を食べてまた馬車に乗る。
今日も俺が御者をする事にした。3時間ほど馬を走らせると、街が見えてきた。
街は大きな壁で囲まれており、東西南北4箇所に門が設置されている。そこには大体6人程の門番がいる。俺は門に向かって馬車を走らせる。すると門番が声をかけてくる。
「止まれ、身分証明書の提出を願う」
街の中は馬車を走らせることが可能で、馬車のまま冒険者ギルドの前まで向かった。
馬車を邪魔にならないように、建物の端っこに寄せておき俺達は冒険者ギルドへと入った。受付ではいつも通り何人かの受付嬢が慌ただしく動いており、俺はその内の1人を捕まえて依頼達成の報告をする。
「依頼達成の報告に来たんですけど」
「分かりました、少々お待ちください」
そう言った後、受付嬢は俺達にギルドカードの提出を求めてきたので、ギルドカードを渡す。ギルドカードを見れば何を倒したのかは分かるが、俺は念のため口でも報告しておく。
「キマイラ討伐に向かい、キマイラ20体討伐してきました」
「はい?」
俺が事実を言うと、受付嬢は全く信じている様子はなく、なめてるの?みたいな目で俺を見てくる。
「いや、20体討伐してきたんですけど」
「ギルドカードの確認を行いますので少しお待ちください」
受付嬢はそう言ってすぐに視線をギルドカードへと移した。そして受付嬢はギルドカード見て目を見開いたあと、慌てて受付の奥へと走っていった。
しばらくして、戻ってきた受付嬢が戻ってきた。受付嬢は肩を上下させながら、受付の奥を手で指した。
「ギルド長に報告したところ、リョウタさんとエリス様に直接お会いしたいとの事です」
エリスだけ様呼びなのが不思議だったが俺は気にせずにギルド長に会いに行くことにした。ギルド長になぜ呼ばれたかはよくわからないが、気にしない。考えるのが面倒だからだ。
だがギルド長に会うことによって面倒事に巻き込まれるなどこの時は全く思っていなかったのだった───。
誤字や矛盾があれば教えてください。
それと説明がわかりにくいところも教えてください。
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