Ⅷ お弁当タイム
おひさしぶりです!!!!!!!
今回も咲夜を愛でる回となっております。
キーンコーンカーンコーン
気を付けー、礼、ありがとうございました~
赤木君の声に合わせて号令。うぅ……やっと四時間目終わった~。良かった。ちゃんと30分も起きていられた。50分授業だけどね!
「んぁー、疲れたぁ」
ヒロも疲れているのか大きく伸びをしている。何か気苦労でもあるのかな?
「おいヒロ、早く弁当をのこせ! 死んじまいそうだ」
後浜君が何か喚いてる。授業中に早弁してたのにまだお腹がすいてるみたいだ。あ、ヒロに断られて赤木君の方にたかりに行った。
「咲夜ちゃん、一緒にお弁当食べない?」
およ?僕を着替えに連行しやがったいつかの娘、羽田 郁さんがお弁当に誘ってきた。でもなぁ……
「あ、私も食べたい!」
「私もー」
う、続々と女子が『私も』という謎の結束力のある言葉を放つ。でも僕はヒロと食べたいんだ!
「ぼ、ぼくヒロ達と…………」
救援要請の意を込めてヒロを見る。お、ヒロが助けてくれそうな目をしている。いいぞヒロ!頑張れヒロ!
「良いよね、山中くん? よし、行こう!」
羽田さんがヒロに確認をとる。ヒロが目を逸らしやがった。そしていっつも思うんだけどさっ!なんで僕の事やのに僕に聞かんとヒロに聞くねんっ!関西弁なってもたやんっ!
結局押しきられて一緒に食べることに。なんやかんやで女子全員が集まって円になっている。ん?男子?男子は教室の隅に散り散りになっている。女子って本当に怖い。僕も女子だけど。
「でも女の子になってもほんと違和感無いねー」
「そ、そうかな?」
隣の席で食べている子が話しかけてきた。名前は…………なんだっけ?名札を見たら『三島』と書いてある。あ、そういえば二個前の席の子だった。数学の班活動の時に少し話したっけ。
「元々かわいかったからねー」
「そ、そんなことないよ!」
「ほら、かわいい」
「うぅ……」
からかわれてるの?かな。照れるから困る。そもそも女の子と話すだけで照れるからなぁ。どうしよう。同性とまともに話せないとなると友達が出来ないじゃないか。まあヒロがいいんだけど。
「確かにねー。本当に咲夜ちゃんかわいいよね」
「撫で回したいくらいに」
「分かるー。そうだ、咲夜ちゃん撫でさせてよ」
撫でさせてとな!?何故そうなる………………まあ気持ちいいから良いけどさぁー。
「ま、まあ……良いけど……」
「わーい」
「え、じゃあ私も!」
「私も撫でる!」
どんどん集まってくる女子たち。順番に撫でられる。気持ちいいけど首がぁ……もげる……
「何このかわいい生物」
「なんか母性が出てくるよね」
「飼いたい」
おい、最後の奴何だ!飼いたいて!ぼくは人間だ!
「一日中撫でてられるよね」
「分かるー」
「飼いたい。首輪着けて飼いたい」
だから最後の奴!怖いこと言い出すんじゃない!
「それにしても咲夜ちゃん少食だね」
「確かに、ダイエット中の私より少ないし」
「いや、あんたのダイエットは気持ちだけでしょ」
ボケに対しすぐさま鋭いつっこみが飛んでくる。
「元々少なかったのに最近さらに減ったね」
「うん、女の子になってから余計に食べれなくなったんだ」
これはちょっとした悩み。元々食べる方ではなかったけど、今じゃちょっと食べただけでお腹がふくれる。
「咲夜ちゃんいっぱい動くんだしもっと食べなきゃ倒れちゃうよ?」
「そうそう、ダイエット中の私よりも運動してるんだから」
「だ、か、ら、あんたのはダイエット(笑)でしょーが」
またもやボケ&つっこみ。さっきからすごいコンビネーションだ。
「でもすぐお腹いっぱいになっちゃうんだ」
「まあ無理したらダメだしね」
「そうそう、無理して食べるのは体に良くないし栄養が体に取り込まれる量も減るらしいよ」
「まあちょっとずつ食べる量増やしていけば良いんじゃない?」
「あんたはちょっとづつ減らしなさいよ」
「テヘっ」
「あんたがやっても可愛くねーよ」
「…………………………」
…………楽しいな、皆で食べるお弁当は。いっつもヒロと二人っきりだったからワイワイするってのは新鮮だ。でも、ここにはヒロがいない。だから心に穴が空いているかのように空虚だ。ヒロとの間にはちょっとの距離しか阻むものはないけれど、それでも寂しく感じる。もしかして僕ってヒロのこと…………まあ、そんなことあるわけ無いか。
お久しぶりです!
楽しみにしていた皆々様お待たせいたしました。
そして悲しいお知らせです。
諸事情により、2話に登場した中山唯雅君はお亡くなりになります。
南無阿弥陀仏