私設図書館
彼は些細な事で怒るくせに、大事の前では実に男らしかった。
「提案があるんだ。二人の間に問題が発生するたび、まずサイズに関して論じ規定すべきじゃないかな。大小の間には中があるわけで、その時々の気分でカテゴライズしているようでは成長できないよ」
私はただ、無駄に怒られたくなかっただけだ。
「難しそうだ。でもやってみよう」
彼は理解せず、納得だけした。
「ありがとう」
一ヶ月も経たない内に基準が誕生し、一年も経たない内に記録が蓄積した。
「こうして振り返ると、まるで僕たちの間には喧嘩しかなかったって気がしてくるな」
ある雨の日の午後、彼はこんなことを言った。
「そうかな」
彼は生返事を返しただけだった。雨音がやけに響いていた。その日も問題は発生した。
「元々合わなかったんだな、僕たちは」
「そうかな」
彼は出ていき、山積みされたノートだけが残った。