はじまり
昔から人には言えないことがあった。
言ったら気持ち悪がられると思ったし、どうせ信じてもらえないとも思っていた。
それは、その人の体調や得意なことや好きなこと、その人がどんな人なのかの概要が見えてしまうこと。
僕が初めてあった人でも変わらず、勝手にいろんな情報が出てくる。
まるでゲームのデータのような感じで、好きじゃなかった。
知りたくないことも出て来るし、その人が隠したい情報まで見えてしまうから。
相手は僕のことを知らないのに、僕は相手のことを一方的に知ってしまうから。
仲良くなろうとしても情報のせいでズルをしているみたいで、それでも無視するのも違うと感じて。
自分の中でうまく消化できず、もやもやした気持ちを感じたまま日々過ごしてきた。
でも、そんなときにあいつに会ったんだ。
人と話すのが好きで、ちょっと抜けてて、とびきり明るいあいつに。
あいつは、僕の悩みを蹴飛ばしてくれた。
すごいじゃん、って。人のことが良く知れるじゃん、って。
詳しくは話していないし、多分、というか絶対に正しくは伝わってないんだろうけど、それでもあいつは僕の悩みを受け止めて認めてくれた。
だから、この力はあいつのために使おうって決めたんだ。
あいつが何を考えて言ったのかはわからないけど、それでも確かにあの時僕は救われたから。
だから、これは僕の勝手な恩返し。あいつが望んでようとそうじゃなかろうと、僕はあいつのためにこの力を使いたい。
そうしたら、この力を持っている意味もあるような気がするから。




