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白銀の魔弾は、孤高の騎士の心を溶かす  作者: 万里小路 信房


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1、悪魔の戦術と銀狼の誓い

 帝国軍の行軍の長い列が続いている。見晴らすような雪原の中、果てしなく長く続いていた。


 そこに大きな叫び声が聞こえる。


「かかれ!」


 女の声だ。列がおびえたように声のした方へ振り返る。列の側面、今まで雪の平野だと思ったところから、人が立ち上がって向かってくる。手には槍、もうわずかな距離だ。帝国軍の部隊指揮官が叫ぶ。


「大公軍だ! 応戦しろ!」


 その言葉が終わらないうちに、その指揮官の鎧の隙間に矢が突き立つ。周りの兵が動揺する。そこにもまたいくつかの矢が刺さる。


 大公軍の指揮官、騎士ネーレは自分の従士が敵の指揮官を倒したのを確認すると、その整った顔に笑みを浮かべた。


「撤退! 下がるぞ」


 槍を持った白兵部隊は、一合も合わせないまま、敵に背中を向けて一斉に駆け出す。それを追う、帝国兵たち。背後では「追うな! 追うな!」と指揮官たちの声が聞こえるが、その指揮官たちがバタバタと倒れていく。ネーレの従士に狙撃されているのだ。


 大公軍を追ったわずかな兵たちは、雪に足を取られ、弓の餌食になった。


 この惨状を雪煙の向こうで眺めていた帝国の騎士グリエルモは怒りに声を震わせた。


「あの女狐め、まただ! 白兵を避け、指揮官だけを狙うとは、悪魔のようなやり方だ! だれか、あの白銀の魔弾を仕留めろ!」


 ここラズライト川戦線は、このような情景が繰り返されていた。極北の地、大公国の東境、凍てつくラズライト川戦線は、地獄のような攻防の舞台だった。この地は、古の巨人たちが残したかのような複雑な氷の丘陵と、人々の感情をも凍らせる峻烈な冬の魔力に支配されていた。侵攻する帝国は、大公国の防衛線を崩壊させるために、ガドリン湖北方のこの地に、絶え間なく兵力を投入した。


 大公国の防衛線は、土塁とその上の柵と望楼、そして深い霧氷に覆われた森の奥深くに築かれていた。帝国の広範囲攻撃魔法は、一瞬で大公国軍の防護結界魔法をガラスのように砕いたが、大公国の兵士たちは森の奥深くへ潜行し、炎の嵐が去るたびに、まるで地中から湧き出す亡霊のように立ち上がり、戦いを再開した。


 この戦線に脈打つ兵士たちの誓いは、「銀狼の誓い」。それは、いかなる帝国軍の猛攻にも屈せず、この地を一歩も明け渡さないという、不屈の魂の叫びであった。

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