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ゴーレムはロボットです。  作者: 山田 ソラ


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第86話 第三次ダンジョンアタック:第二層・白い霧の幻想

 第一層の湿地帯を抜けた一行は、ゆっくりと前進を始めた。

 光るゴーレムたちの灯りが淡く壁を照らす。


 カイルは人型鎧ゴーレムの中で、深呼吸をひとつ。

 この下が、第二層。


「さて……ここからが本番だ。」


 キキが肩の上で尻尾を揺らす。


「前の層より空気が冷たいね。なんか……嫌な感じがする。」


 霧がゆらゆらと揺れ、地面が見えないほどに真っ白だった。

 光るゴーレムの光が拡散され、幻想的な白の世界が広がる。


「まるで夢の中みたい……」

 

 家型ゴーレムの窓から、母がぽつりと呟いた。

 リーナはその膝の上で、白い光に目をぱちぱちと瞬かせている。


 父の胸部に埋め込まれた魔石が光る。


『霧、濃度高シ。魔力感知困難。』


「つまり、見えない敵がいるかもってことか。」

 

 カイルは周囲をスキャンするが、センサーはノイズだらけ。

 湿気と魔力が干渉し、視界も聴覚も当てにならない。


「護衛ゴーレム、散開。前衛は三列陣形で進行。」

 

 号令と共に、護衛ゴーレムたちが霧の中を無音で歩き出す。

 金属の足音だけが、遠く反響した。


 その時。


 シュウゥゥ……と霧が渦を巻き、

 人影のようなものが浮かび上がった。

 白く透ける身体、顔のない幻影。

 ゆらりと漂いながら、ゴーレムに手を伸ばす。


「幻獣か!? いや、魔力の残滓……?」


 護衛ゴーレムの拳が振り抜かれたが、幻影は霧となって散る。

 次の瞬間、別の場所に同じ姿が現れた。


「こいつ、実体がない!」

 

 キキが警戒して叫ぶ。

 だが、カイルは冷静に魔石の制御を指示する。


「光型ゴーレム、照射モード最大! 霧を散らせ!」


 強烈な白光が洞窟を包み、霧が一気に薄れる。

 その瞬間、幻影たちが苦しむように揺らめき、消えていった。

 だが完全に消滅したわけではない――霧の奥に、再び淡い光が見える。


「……この層自体が、魔法生命体の巣かもな。」

 

 カイルの言葉に、キキがため息をつく。


「うわぁ……戦いづらいタイプだね。物理効かない、魔法も拡散する……最悪。」


 家型ゴーレムの中では、母が心配そうに手を合わせていた。


「気をつけてね、カイル。」


「大丈夫。父さんもいるし、ゴーレムも万全だから。」


 その瞬間、父の胸の魔石がぴかっと光る。


『我、全力支援。』


「……うん、頼もしいけどさ、無茶はしないでね?」


 その会話を最後に、

 一行は白霧の迷宮の奥へと進んでいく。

 霧の中に浮かぶ光の粒子が、まるで星のように煌めいていた。


 幻想的で、どこか不気味な第二層。

 だがカイルたちの足取りは、確かに前へと進んでいた。




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