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ゴーレムはロボットです。  作者: 山田 ソラ


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第84話 降下、ダンジョン第一階層

 大穴の縁から見下ろせば、底は霞の向こう。

 黒い深淵が、まるで地の心臓のように脈打っていた。


「……初めて見たけど怖いわね」

 

 母がリーナを抱きながら呟く。

 リーナは恐れよりも興奮が勝っているようで、両手をぱたぱたと振っていた。


「おー! おー!」


「落ち着いて大丈夫だよ。」

 

 カイルは笑いながら、ゴーレム部隊を指揮する。


「第一陣、護衛ゴーレムと光型、放水型をそれぞれ五十機ずつ。順に分けて降下開始!」


 エレベーターゴーレムが低い唸りを上げながら、複数の昇降プラットフォームを展開していく。

 

 まるで巨大な巣をもつ働き蟻の群れのように、ゴーレムたちは整然と列を作り、順番に大穴へと消えていった。


「続いて第二陣、資材搬送班! 家型ゴーレムを押し下げろ!」


 指示を飛ばすカイルの背後で、ひときわ大きな影が動いた。

 

 それは、砂漠の神殿で改良を重ねた強化型可変式巨兵ゴーレム。

 両肩に風圧をまとい、まるで待ちきれない子供のようにうずうずしている。


「おい、父さん。お前まで行く気か?」

 

 カイルが苦笑すると、骸骨の父が胸の魔石を光らせる。


『我、母と妹を楽しませたい。』


 その瞬間、巨兵の脚部が展開し、圧縮空気を吹き出した。

 重力を無視するように宙へと跳躍――。

 巨体はゆるやかに弧を描き、青空を背景に飛び上がった。


「きゃー! きゃー!」

 

 リーナが笑い声を上げ、母も思わず口元を押さえて息をのむ。


 巨兵は空中で回転しながら、背中の板を展開して簡易グライダー形態に変形。

 滑空しながら大穴の縁を大きく旋回し、光を反射させて二人を照らした。

 その胸部に浮かぶ光文字。


『我、パフォーマンス中』。


「もうっ……ふふ、ほんとにあの人は……」

 

 母は笑いながら呆れ、リーナは拍手を続けている。


 カイルは肩をすくめて、溜息をついた。


「はぁ……派手好きにもほどがある。」


 だが、そんな姿を見て、

 少し張り詰めていた空気がふっと和らいでいく。

 父の無駄な“遊び”も、時には悪くない。   

 カイルはそう思った。


 やがて、順番にゴーレムたちが大穴の底へと降りていき、

 最後にカイルたちの巨兵ゴーレムがゆっくりと下降を始める。


 青白い光が闇を照らし、

 壁に生えた光苔がゆらゆらと輝く。

 リーナは母の膝の上で指を伸ばし、その光を掴もうとした。


「きれい……ね」

 

 母の声に、カイルも微笑む。


「うん。次は、もっとすごいの見せてやるよ。」


 その言葉とともに、巨大な昇降機は地底へと消えていった。




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