第75話 父の水泳大暴走
海辺に立つカイルたちの前で、父の骸骨ゴーレムは普段の冷静さを完全に失い、胸部の光が弾けるように躍動していた。
『……これが! 海だ……!』
文字ではなく、まるで感情そのままに光が溢れ出す。
次の瞬間、父は鎧を脱ぎ捨て、豪快に水中へ飛び込んだ。
「え……ちょ、ちょっと待って!? 父さんッ!!」
カイルは慌てて追おうとするが、水中に潜った父は悠々と泳ぎ回る。
だが、深い青の中から突如、巨大な水棲モンスターが飛び出し、父に向かって口を開いた。
「うわあああっ、食べられるッ!」
カイルとキキは慌てふためき、水面は白い泡で立ち上がる。モンスターの鋭い顎が、まさに父に迫ろうとしていた。
しかし、父は腹部から剣を取り出すと、モンスターの攻撃を一閃で切り裂き、水面から豪快に飛び出した。
滝のような水しぶきを背に、空中で剣を構えた父の胸部の光には、大きく文字が浮かぶ。
『我、無敵』
カイルとキキはその光景を目にして言葉を失った。
しばしの沈黙の後、二人は息を合わせて大笑いする。
「ははははは……! マジで無敵すぎる……!」
「カイルの父さん、やりすぎでしょ……!」
父は水中モンスターを片手で追い払い、再び悠々と泳ぎ回る。
カイルとキキは笑いながらも、その胸の奥で“父の無敵っぷり”に改めて感心せずにはいられなかった。
こうして第五層の海辺は、探索というよりも、父の豪快すぎる水泳ショーに支配されることとなった。




