第73話 宝物庫と第五層への扉
「うおおおっ! これ全部、宝か!?」
カイルの目が輝いた。
崩壊した守護ゴーレムの奥にあった扉を抜けると、そこは金色に輝く広間だった。
壁には古代文字がびっしりと刻まれ、床には宝石や金貨、魔具、未知の金属の塊が山のように積み上がっている。
キキは目を丸くして口をぱくぱくさせた。
「ちょ、ちょっと待って……あれ全部、本物の金貨じゃない!? しかも王国製より古い刻印よ!」
骸骨の父が『確認中』と表示し、宝の山にズカズカと足を踏み入れる。
その動きが無駄に堂々としていて、宝の山がカラカラと音を立てた。
「ちょっ! 踏まないでーっ!」
キキが悲鳴を上げて父を引っ張ろうとするが、骸骨の父は微動だにせず、胸に『価値:未知』と浮かべた。
「……お父さん、宝の価値、わかんないんだな」
「そのうち覚えるでしょ! っていうか、息子、拾うより先に学びなさいよ!」
キキのツッコミに、カイルは苦笑いを浮かべながら宝を手に取る。
「うわ、これ……金属の密度がすごい。古代合金か?」
「また研究モード入った……」
そんな中、骸骨の父が部屋の奥で立ち止まった。
『異常構造 発見』
カイルとキキは顔を見合わせ、
父の示す方向へと向かう。
そこには他の壁と違い、まるで“呼吸”しているかのようにわずかに動く壁面があった。
「これ……ただの壁じゃないわね」
キキが手を近づけると、淡い青い光が反応した。
円形の魔法陣が浮かび上がり、中心には古代語の一文。
キキは頭を捻りながら翻訳する。
『第五層への門、認証対象:守護者の鍵』
「守護者の鍵……あのデカいゴーレムの魔石か!」
カイルは即座に崩れた守護ゴーレムの胸部から取り出した巨大な赤い魔石を掲げる。
魔石が反応し、壁がゆっくりと沈んでいく。
砂煙が舞い上がり、その奥には黒い階段がずっと下へと続いていた。
「……下、真っ暗ね」
「第五層、ってことは……まだ続きがあるのか」
「ええ、でもあたし、嫌な予感しかしない」
骸骨の父は胸に『探索提案』と表示。
キキが頭を抱える。
「もう!あなたの父までノリノリじゃないの!」
カイルは笑いながら言った。
「行くさ。だって、ここまで来たんだ。まだ見ぬ遺跡の奥、確かめないとな」
その瞬間、奥の階段から冷たい風が吹き抜けた。
まるで“何か”が目覚めを待っているかのように。




