第58話 大穴からの脱出
第三階層の溶岩空洞から退却した一行は、光るゴーレムを先行させ、慎重に通路を戻っていた。
火炎の魔人の熱気はまだ遠くに感じられるが、油断はできない。
「大穴まで戻れば、準備していた方法で脱出できる」
カイルは息を整えながら言い、鎧ゴーレムを操作する。
ダンジョンの巨大通路には、巨兵ゴーレムがカイルたちを待っていた。
「これに乗れば安全圏まで行ける……」
カイルは一瞬、胸が高鳴るのを感じた。
用意していたワイヤーフックを取り出し、巨兵の腕に装着。
巨兵が出口の縁に立つと、カイルはワイヤーフックを投射した。
フックは石壁に確実に引っかかり、緊張の一瞬が走る。
「よし、登るぞ!」
巨兵ゴーレムが強靭な腕でフックを巻き上げ、カイルたちを引き上げる。
光るゴーレムと父とキキを背に、大穴を安全に脱出した。
森の冷たい空気が全身に触れ、カイルは深く息をつく。
「ふぅ……間一髪だった……」
キキも安堵の表情を浮かべ、杖を軽く振って火気を抑える。
「家まではもう少しだ」
カイルは巨兵ゴーレムを操り、森の中の安全ルートを辿って進む。
やがて、木々の間から自分たちの小屋が見えた。
母とリーナが心配そうに顔を出す。
「……帰ってきたよ」
カイルは微笑み、巨兵ゴーレムを小屋の前で停止させる。
光るゴーレムと鎧型ゴーレム(父)、そしてキキも周囲を警戒しながら、無事に家まで戻った。
「今回は撤退だったけど……次は必ず勝つ」
カイルの目には、強い決意の光が宿っていた。




