第54話 広間の守護者
広間の中央に、青白い光を放つ大きな魔石が台座に浮かんでいた。
その神秘的な輝きに見惚れたのも束の間、床が低く唸りをあげて揺れ始める。
「……来るぞ!」
キキが杖を構えた瞬間、石壁がせり上がり、闇の奥から巨体が現れる。
それは全身を黒鉄の鉱石で覆った古代ゴーレム。
赤く光る目がこちらを射抜き、重い足音を響かせながら立ち上がった。
「守護者……か」
カイルは鎧型の人型ゴーレムに乗り込み、操縦席で拳を固く握る。
護衛用の中型ゴーレムたちが一斉に前へ躍り出て、光るゴーレムが広間全体を照らす。
まるで舞台の幕が上がるように、戦いの場が浮かび上がった。
ドゴォォン!
古代ゴーレムの拳が振り下ろされ、床石が砕ける。
だが護衛ゴーレムが盾を構えて衝撃を受け止めた。
「硬いわね……!」
キキが炎の矢を放ち、赤熱した爆発で表面を削る。
だが相手は怯まず、赤い眼光をぎらつかせる。
「今だ、押し込め!」
カイルの号令で護衛ゴーレムたちが両腕にしがみつき、動きを鈍らせる。
その隙を突き、カイルの人型ゴーレムが剣を振り下ろした。
ガギィィンッ!!
刃は深々と首筋に突き刺さり、赤い光の目が粉砕される。
巨体は痙攣し、やがて崩れ落ちて動きを止めた。
石片と共に、核の魔石が転がり落ちる。
「やった……」
カイルは操縦席を降り、魔石を拾い上げた。
その輝きは、確かな報酬の証だった。
キキは息を吐き、額の汗を拭いながら小さく笑う。
「ふぅ……これで次に進めるわね」
父の骸骨ゴーレムから板に文字が浮かぶ。
『戦闘終了、進軍可能』
カイルは頷いた。
「行こう、次の階層へ……ここからが本当の探索だ」
重い音を立てながら、広間奥の扉がゆっくりと開いていった。




