第45話 翼と光
森の奥で見つけた大穴の前に立ち、俺は目を輝かせていた。
「……これは絶対に降りるしかない!」
底は暗闇で見えない。吹き上がる風は冷たく、不気味な音を響かせている。
普通の人なら怖がるだろう。でも俺の胸は高鳴って仕方がなかった。
「まさか、本気で降りるつもり?」
隣でキキが呆れたように眉をひそめる。
「当然だよ!こんなの探検心をくすぐるだろ? 未知の場所、未知の発見、俺たちの冒険だ!」
俺は拳を握りしめた。
父の文字盤がカタカタと光る。
『飛行任務、死亡率高』
「父さんは慎重すぎるんだよ。俺は博士号持ちだぞ?(前世で)」
俺は自信満々に笑い、すぐに工房へ駆け戻った。
翼を作る作業は夢中そのものだった。
森で拾った鉄を鍛え、木材と組み合わせ、巨兵の背中に大きな翼を装着していく。
羽ばたくたびにギギギと音がして、俺は胸が熱くなる。
「これで巨兵は空を翔ける! 最高だ……!」
さらに暗闇の対策として、小型ゴーレムに光を仕込んだ。
起動すると、ふわりと灯火のように宙を漂い、森を照らす。
「うわっ、いいじゃんこれ! まるで俺たち専用の探検ランタン部隊だ!」
リーナが「ピー!」と笑って手を伸ばす。
母もその光景に微笑み、骸骨の父が無言で小さくうなずいた。
キキは腕を組んで、半ば呆れ顔で言う。
「まったく……カイルって……でも、ちょっと楽しそうね」
俺は胸を張って言い放った。
「準備は万端! さあ、冒険の始まりだ!」




