第44話 父の勘違い
森の小屋に、鎧を纏った父が街から帰ってきた。
『ただいま』
胸のディスプレイに文字を浮かべながら、父はどこか得意げだ。
「父さん、森で大きな穴を見つけたんだ」
俺は興奮気味に話し始める。
すると父の文字盤が瞬時に反応した。
『穴? 魔物か? 財宝か? 敵?』
「いや、魔物の巣かもしれないし、古代遺跡の可能性もある」
俺が説明すると、父の文字はさらに増える。
『敵なら討伐、財宝なら回収、古代遺跡なら冒険任務』
キキは呆れ顔で肩をすくめる。
「……全部やる気ね、この人」
父は文字で続ける。
『任務、全力。穴、危険度最大』
「危険度最大って……わたしたちが降りたわけじゃないんだけど!」
キキが思わず突っ込む。
俺は苦笑しつつ、父の勘違いにツッコミを入れる。
「いや、今回は調査用で様子を見に行っただけだってば」
父は文字盤を少し傾け、まるで考え込むような表示をした後、
『了解。味方補助任務として待機』
「……うん、まぁ、待機してくれるならいいけどさ」
キキは小さくため息をつきながらも、笑みを隠せない。
「この人、真面目すぎて可愛いわね……」
俺も苦笑しながら頷く。
こうして、森の探索は続く。
父は街からの情報を持ち帰り、勘違いしつつも頼もしい助っ人としてサポート。
俺とキキは巨兵で森を進み、大穴の調査準備を進めるのだった。




