第40話 森の要塞化
俺は作業机の前で腕を組み、ずらりと並んだ魔石を見つめた。
「……よし、改良型ゴーレムを大量に作ろう」
暴走の教訓を経て、魔石の安定化と小型化はある程度完成した。
そして今回はただの試作ではなく、実用型の群れを生み出す段階に来ていた。
俺は魔力を流し込み、次々と無機物に命を吹き込む。
木片と金属片を組み合わせた小型ゴーレム、石と鉄骨を基盤にした中型ゴーレム。
光が弾け、十体、二十体と、次々に動き出した。
「……これなら森の魔物相手でも負けない」
キキが横で呆れ顔をしていた。
「やりすぎじゃない? 小屋の周り、まるで軍隊じゃない」
「母さんとリーナを守るためだ」
俺は真顔で答える。
母さんは赤ん坊のリーナを抱きながら、その光景を見て少し不安そうに言った。
「カイル……こんなにたくさん、本当に必要なの?」
「必要なんだ。母さん、リーナを絶対に守るために」
そして俺はもう一つの実験に取りかかる。
母さんの身体。
いや、人工生命体としての機能を、ほんの少しだけ強化する。
体力を補助する魔石を埋め込み、彼女の心臓の鼓動を安定させる。
「……これで、負担が減るはずだ」
母さんは胸に手を当てて驚いた顔をする。
「息が……楽に……? カイル、本当に……ありがとう」
涙を浮かべる母さんに、俺は小さくうなずいた。
キキは、ゴーレムの整列する光景を見て、肩をすくめた。
「……もう要塞よね、ここ」
「要塞でいい。母さんとリーナのためなら」
俺は迷いなくそう答えた。




