第38話 暴走の教訓と小型ゴーレム調整
森の小屋の中、昨日の暴走事件の後片付けを終えた俺は、深く息をついた。
「よし……今度は慎重にいく」
机の上には新たに準備した小型ゴーレムと、魔石の試作品が並んでいる。
小型ゴーレムはまだ未完成だが、昨日の経験を活かして制御魔力の流れを微調整してある。
キキは横で腕を組み、眉をひそめつつも期待に目を輝かせていた。
「暴走して森を壊さないようにね」
「もちろん、今回は安全第一だ」
俺はそう答え、魔石を慎重にゴーレムに埋め込む。
今回は魔石の連結も試す。
巨兵を創ったとき偶然成立した連結を、小型ゴーレムで再現する挑戦だ。
魔力を流し込むと、魔石同士が光を帯び、互いに共鳴する。
前回のような急激な膨張はなく、ゴーレムの体にぴったりと収まった。
「……成功したか?」
俺は慎重に手を離す。
ゴーレムは微かに手足を動かし、安定した動作を見せた。
キキが目を丸くして驚く。
「本当に……ちゃんと動くわね! ちっちゃいのに!」
「うん。昨日の暴走があったから、魔石の量や魔力の流し方を微調整できた」
俺は小さく笑う。
「小型化と連結、両方うまくいった……これで日常で使えるゴーレムが作れる」
母さんは赤ん坊のリーナを抱きながら、にこにこと笑っている。
「リーナも安全ね。良かった」
「うん、これで森での生活も、もっと安心して過ごせる」
俺はゴーレムを眺めながら、小さな達成感を噛みしめる。
キキは腕組みのまま、ちょっとだけ笑みを浮かべた。
「さすがカイル。ちゃんと学習するのね」
「うん、暴走も無駄じゃなかった」
俺はそう言いながら、次の課題に目を向ける。
次は、さらに実用的なゴーレムを増やすこと。
日常の作業、母さんとリーナの世話、そして森の生活を助けるための小型ゴーレム。
焚き火の揺らめきと、赤ん坊の笑い声。
森の小屋に静かな日常が戻った。
だが、この小さな成功は、これから始まる大きな挑戦への第一歩に過ぎなかった。




