第35話 森に戻る日常と新しい研究
森に戻った俺たちを、母さんと赤ん坊のリーナ、そして骸骨の父さんが迎えてくれた。
母さんはリーナを胸に抱き、安堵の笑みを浮かべる。
「おかえりなさい、カイル……」
「ただいま、母さん」
骸骨の父さんは鍬を持ち、コクリと首を縦に振った。
その姿は相変わらず異様だが、母さんもリーナも自然に受け入れている。
キキは腕を組んで俺たちを見て、ため息をついた。
「……何度見ても慣れないわね、骸骨がお父さんしてるなんて」
「母さんとリーナが普通に受け入れてるからな」
「それが一番すごいことなのよ」
そう言いながらも、どこか笑っていた。
俺は安堵をかみしめつつ、研究に戻った。
森の奥に眠る巨兵。
あれを創った過程で、不思議なことが起きていた。
本来なら俺に出来ないはずの「魔石の連結」。
巨兵の胸部に複数の魔石を埋め込んだ時、なぜかそれらは互いに干渉し合い、一つの力として働いたのだ。
「……あれは偶然だったのか?」
俺は机に並べた小さな魔石を見つめる。
試しに同じ方法を小型のゴーレムで再現しようとしたが、結果は失敗だった。
ただ、巨兵の中では確かに連結が成立していた。
「つまり……条件次第では可能ってことか」
俺は思わず拳を握る。
新しい道が開けた感覚に、胸が高鳴った。
「なに? また変な顔してるわね」
横から覗き込んできたキキが怪訝そうに言う。
「……いや、もしかすると俺、魔石の連結ができるかもしれない」
「はぁ!? あんた前まで『出来ない』って言ってたじゃない!」
「巨兵を創ったときに、自然に起きたんだ」
「…………」
キキは呆れた顔をしながらも、口の端が上がっていた。
「ほんと、あんたって人は。次は神様にでもなるつもり?」
「まさか。ただ、可能性は広がった」
俺は笑い返す。
その夜。
母さんは赤ん坊のリーナをあやし、骸骨の父さんはぎこちなくも薪を割っていた。
リーナは父さんの骨の指を握ってキャッキャと笑う。
不思議な光景だがそれが、俺の大切な日常だった。
焚き火の光の中で、俺は新しい研究課題を胸に誓った。
「魔石の連結を、必ず自分の力で再現してみせる。」




