第24話 骸骨の父
森の家に戻った俺は、骸骨になった父を母とリーナに会わせた。
当然、母は青ざめて悲鳴を上げ、リーナも泣き声をあげた。
だが、骸骨は俺の意思とは関係なく勝手に動き始めた。
よろよろと畑に行き、鍬を持ち上げて土を耕し始めたのだ。
「……あれ?」
俺も母も呆気にとられる。
そして戻ってくると、泣きじゃくるリーナを抱き上げ、骨の腕でぎこちなくあやした。
最初は怯えて泣いていたはずのリーナも、不思議と泣き止み、そのまま眠ってしまった。
母は口元を手で覆い、驚きと戸惑いの後……ぽつりと呟いた。
「……この子の父さん……なのね……」
「母さん……!」
胸の奥が熱くなり、目頭がじんとする。
家族はまた一つになれた。
そう思った。
……ただ、一人を除いて。
「ちょ、ちょちょちょっと待てぇぇぇッ!!」
横で見ていたキキが、頭を抱えて叫んだ。
「正気か!? なに勝手に骨を耕させて赤子あやさせてんの!?えっ、みんな普通に受け入れてるの!? これ、狂気でしょ!?いや、なんで赤ん坊も安心してんの!? 骨だぞ!? 中身空っぽの骨だぞ!?」
キキはその場を右往左往し、長い耳をぶんぶん振り回しながら絶叫していた。
だが、母はすでに骸骨を「夫」として見つめ、リーナも安心して眠っている。
俺も胸を張って言い放った。
「これが俺の父さんだ。……たとえ姿が変わっても、俺たちの家族なんだ!」
「変わりすぎだわ!!」
キキは半泣きで叫んだ。
「アンタら人間、死生観どうなってんの!? エルフ社会じゃ完全に処刑案件よ!? 私、もう胃が痛い……」
骸骨の父は、そんなキキを無視して再び畑へ歩いて行く。
ぎしぎしと音を立てながら、淡々と土を耕す姿はどこか頼もしくもあった。
俺は笑みを浮かべ、母とリーナを見やった。
「これでいいんだ。家族は……また一緒なんだ」
「いやいやいや、全然“いいんだ”じゃないからぁぁぁ……!」
焚き火の横で、キキだけが盛大に崩れ落ちていた。




