第15話 カイル頑張ると不穏な知らせ
「カイル、今日は薪割りを手伝ってくれるか?」
父トットの声に、俺は元気よくうなずいた。
「うん! 任せて!」
丸太の前に立ち、俺はゴーレムを呼び出す。
石の腕を振り下ろすと、鈍い音を立てて木が真っ二つに割れた。
村人たちは驚きつつも笑みをこぼす。
「おお……また進歩してるな」
「こりゃあ、カイルのおかげで随分楽になるぞ」
俺は胸を張った。
(生まれてくる赤ん坊のために……もっと頑張らなきゃ!)
母クレアはお腹を優しく撫でながら、遠くから微笑んで見守っている。
その姿を見るたびに、俺は新しい命を守る力になりたいと強く思った。
数日後。
開拓地は活気づいていた。
ゴーレムが薪や石を運び、村人たちの作業効率は格段に上がった。
皆が口を揃えて言う。
「カイルがいなけりゃ、ここまで進まなかったな」
俺は照れくさく笑いながらも、ますます研究に熱が入った。
その夜。
詰所でブルト団長は村人たちを集め、厳しい顔つきで告げた。
「知らせだ……ルルーレン王国から、視察の貴族がこちらへ向かっている」
「な、なんだって……!」
「こんな辺境に、どうして……」
ざわめく開拓民たち。
その視線は自然と俺に集まる。
ブルトは一瞬だけこちらを見たが、すぐに目を逸らし、わざとらしく咳払いをした。
「落ち着け。……あくまで形式的なものだ。開拓の進み具合を見に来るだけだろう」
「そうか……なら安心だ」
「開拓のことなら、隠すもんなんてないしな」
村人たちはほっとした表情を浮かべる。
だが俺の胸の奥では、何かが引っかかっていた。
ブルト団長の目は、俺にだけは決して合わせようとしなかった。
(……やっぱり、俺のゴーレムのことと関係あるんじゃ……?)
弟妹のためにと力を尽くしてきた日々。
けれどその力が、俺の知らないところで誰かの関心を集め始めていた。
胸の中で不安が小さく広がり始めるのを、俺はごまかすように夜空を見上げた。




