第14話 小さな奇跡と新しい命
畑の端。
集めた木材や石材を前に、俺は深呼吸をした。
(今日は二体を同時に……やれるはずだ)
魔石を胸に埋め込んだ二体のゴーレムに両手をかざし、魔力を流し込む。
淡い光が灯り、ぎこちなくも同時に立ち上がる。
「……よし、行け!」
一体は丸太を抱え、もう一体は石を転がす。
ぎこちない歩みながらも、互いにぶつかることなく荷を運ぶ姿に、俺は思わず拳を握った。
「す、すごい……!」
「カイルが同時に二つも動かしてるぞ!」
畑仕事をしていた村人たちが、ざわめきながら駆け寄ってくる。
ブルト団長も腕を組みながら唸った。
「……六歳の子供がこれをやるとはな。正直、想像以上だ」
ゴーレムたちは荷を所定の場所に置くと、静かに立ち止まった。
俺は魔力を切り、膝に手をつく。額に汗が滲む。
「はぁ……でも、できた」
村人たちは拍手を送り、父トットは豪快に笑った。
「見たか、クレア! 俺たちの息子は大したもんだ!」
母クレアも嬉しそうに微笑み、俺を抱きしめてくれた。
「カイル、あなたは本当に……未来を作る子なのね」
その夜。
家の中は珍しく明るい笑い声に包まれていた。
だが、母クレアの様子に少し変化があった。
顔色が柔らかく紅潮し、時折お腹を押さえている。
「クレア……まさか」
父トットが目を丸くする。
母は恥ずかしそうにうなずいた。
「ええ……きっと、新しい命を授かったわ」
「……!」
俺は驚きながらも、胸の奥が温かくなった。
「じゃあ……弟かな、それとも妹かな……?」
母は優しく笑いながら、俺の頭を撫でる。
「どちらにしても、カイルにとって大切な家族になるわ」
弟か妹ができるかもしれない。
この貧しい開拓地に、新しい希望が生まれる。
窓の外では、星々が静かに瞬いていた。
複数のゴーレムが働く未来。
そして、家族に新しい命が加わる未来。
それは間違いなく、俺たちの小さな奇跡だった。




