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ゴーレムはロボットです。  作者: 山田 ソラ


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132/135

第131話 白竜の山へ。風と鋼の進軍

 朝靄の中、エルフの里が静かに目を覚ます。

 

 だがその空気は、いつもと違った。

 恐怖ではない。

 覚悟の匂いだ。


 里の外れ、山を望む開けた場所。

 そこに、**巨兵ゴーレム《ターレクス》**が完全戦闘形態で立っていた。

 

 装甲は再構成され、関節部には耐風補助フレーム。

 背部には飛行補助ユニットが展開されている。


「……改めて見ると、化け物だな」

 

 キキの兄が、素直に呟いた。


「味方だから安心して」


 カイルはさらっと返す。


 周囲には護衛ゴーレム、飛行型ゴーレムが展開。

 空と地上、両方を完全に押さえる布陣。

 エルフの戦士たちは、風魔法で補助陣形を組む。


「風精族は後方支援。巨兵の動きを乱さないよう、乱流を抑える」


 戦士長が指示を飛ばす。


「了解!」

 

 里が、一つの軍になった瞬間だった。


 キキは、カイルの横に立つ。


「……本当に、ありがとう」


「何度も言わせるな」


 カイルは前を見る。


「仲間を守るのは、当たり前だ」


 キキは、少しだけ目を潤ませて笑った。

 ヒカルが、ゴーレムの制御水晶を確認しながら言う。


「白竜は高高度からの急降下を多用するはずだ。初動は空戦になる」


「分かってる」


 カイルは頷く。


「最初の一撃で、主導権を取る」


 ヒカリが、山の方を指さした。


「あそこ。白くて、つめたい風。いっぱい、たべてる」


 その言葉で、全員が山を見た。

 雲を突き抜けるようにそびえる峰。

 頂には、白い嵐が渦巻いている。

 

 白竜の巣。


「行くぞ」

 

 カイルの声が、静かに響いた。

 

ゴォォン……!

 

 巨兵ゴーレムが、一歩踏み出す。

 大地が震え、風が割れる。

 飛行型ゴーレムが先行し、空路を確保。

 護衛ゴーレムが側面を固める。

 

 エルフの戦士たちは、風に乗って進軍した。


 里の入口で、族長が深く頭を下げる。


「……帰ってこい。全員だ」


 カイルは振り返らず、片手を上げた。


「約束する」


 こうして白竜討伐隊は、山へ向かった。

 風を喰らう竜と、風に頼らぬ鋼の巨兵。

 

 空と大地がぶつかる戦いが、今、始まろうとしていた。




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