第123話 みんなで行こう、キキの故郷へ
キキがエルフの里へ向けて歩き出したあと、家の前にはまだリーナの泣き声が響いていた。
「キキ……いっちゃ、やだぁ……!」
泣きじゃくるリーナを抱え、カイルは困り顔。
母も父も、どう慰めればいいかと顔を見合わせる。
『我、少女一人行動不安』
父が腕を組んで‘’カタカタ‘’唸った。
「そうね。呼び出しの理由もわからないし」
母も眉を寄せる。
そのときヒカリがぴょこんと手を挙げた。
「キキの“風の道”なら辿れるよ。魔力の匂い、残ってるから!」
(ヒカリの基準はいつも匂い……!)
カイルは少しだけ突っ込みたくなるが、今はそれどころじゃない。
リーナがぐしゃぐしゃの顔で訴えた。
「カイルにーちゃん……キキ、迎えに行こうよ……」
その言葉でカイルの心が決まる。
「行くか。全員で。キキを追いかけよう!」
父が手を打った。
『我、飛行研究結果発表!!』
「飛行?」
カイルが目を瞬く。
父はドヤ顔(骸骨)で頷いた。
『我、飛行船形態、変形賛美計画遂行』
「いつの間に!?」
そこへクレアが笑いながら、
「あなた変わったわね、ほんとカイルみたい……機械いじり」
家の裏の“格納庫”に回ると。
巨大巨兵ゴーレムは、上部に甲板と帆のような魔力翼が追加され、半分船、半分ゴーレムという不思議な姿に変わっていた。
「……ほんとに飛ぶの?」
『我、飛行実験成功』
父が胸を張ると、リーナは目を輝かせた。
「これ、のりたい!!」
さらに上空には、カイルが新しく作った飛行型ゴーレムがきらめきながら旋回している。
「偵察用。前方の安全も見てもらう」
カイルが説明すると、ヒカリが感心して、
「かっこいい!鳥みたい!」
こうしてカイルたちは、“飛行船ゴーレム”に乗り込んだ。
風が唸り、魔力翼が光を帯び、巨体はふわりと浮かび上がる。
「うわぁぁぁ!!!」
リーナが大興奮で窓に張り付く。
「キキ、まっててねーー!!」
大声で叫ぶ。
飛行型ゴーレムたちは周囲を護衛しながら先行し、巨兵飛行船はその後を追って森の上空を進んだ。
ヒカリは風に髪をなびかせながら、
「キキ、あっちだよ。すぐ、追いつけるよ!」
カイルは操縦席で拳を握る。
「よし……絶対キキを一人にしない」
こうして、家族と一〇〇体のゴーレム軍団による“空からの追跡作戦”が始まったのだった。




