第11話 正式な依頼と新たな挑戦
木材運びの作業から数日後。
俺はブルトに呼び出され、開拓団の詰所にやって来ていた。
粗末な丸太小屋の中。
机の上には開拓計画の地図が広げられ、ブルトは太い指で森や畑を指し示していた。
「……これからさらに森を切り開き、畑を広げる。だが人手が足りんのは変わらん。そこでだ、カイル」
ブルトは俺に鋭い目を向ける。
「正式に、お前の“ゴーレム”の力を開拓団の仕事に使わせてもらいたい」
「正式に……!」
胸が高鳴った。
「もちろん危険な作業は大人がやる。だが木材運びや石積み、雑務ならゴーレムに任せられる。どうだ?」
俺は力強く頷いた。
「はい! やらせてください!」
ブルトは満足げに笑みを浮かべた。
「よし。ならば任せるぞ。期待している、カイル」
その日から、俺は本格的に“ゴーレムの改良”に取り組み始めた。
ゴブリンの魔石を使った二体目は十分に働いてくれた。
だが、もっと効率を上げたい。もっと長く動かしたい。
(もし複数体を同時に動かせたら……? もし細かい動きができるようになったら……?)
俺は魔力を流し込みながら、新しい構造を試した。
指を五本に分けてみたり、関節を増やしてみたり。
しかし。
「だめだ……!」
ゴーレムは突然バランスを崩し、ガラガラと倒れた。
別の個体は魔石がすぐにひび割れて動かなくなり、またあるときは二体同時に動かそうとした瞬間、俺自身が目眩に襲われて膝をついた。
「……魔力の消費が多すぎる……」
失敗ばかり。だがそのたびに、俺は新しい発見をしていた。
魔石によって持続力が違う。
魔力の流し方で動きの滑らかさが変わる。
同時操作は負荷が大きすぎる。
(やっぱり……ただ動かすだけじゃだめだ。効率的に魔力を制御する仕組みが必要だ……!)
そのときだった。
崩れたゴーレムの中から、砕けた魔石のかけらが転がり出た。
その欠片を拾い上げると、不思議なことにまだわずかに魔力が残っていた。
「……待てよ。ひびが入っても、完全には力を失ってない……? もしこれを、別の魔石と組み合わせられたら……」
胸の奥に、電撃のような閃きが走った。
それは前世で培ったロボット工学の知識と、この世界の魔石という要素が繋がった瞬間だった。
「……そうか! “複数の魔石を並列接続”できれば……!」
成功にはまだ遠い。
だが、新しい可能性を見つけたことで、俺の心は熱く燃えていた。
(必ずやってみせる。このゴーレムを、もっともっと強くするんだ!)
そして俺は、また新たな挑戦に向かって動き出したのだった。




