第115話 宝物庫へ突入、ヒカリの“能力”また暴走?
守護者ゴーレムとの衝撃のダンスバトル(?)が終わり、カイルがフラフラしながら巨兵から降りてきた。
「うぇ……地面が上下してる……」
「カイルにーちゃん、へんなかおー」
「……ほっといて……」
キキはカイルの背中を叩きながらため息をつく。
「もうヒカリがいるとダンジョン全部が歓迎ムードなんだよ。ボスまで踊るって……どういう仕組みなのこれ?」
「えへへ……みんなね、ヒカリのこと、すきーって」
ヒカリはにっこり笑って言う。
「いや、嫌いよりは良いけどさ……戦闘で歓迎されても困るのよね……」
父の骸骨ゴーレムも胸の光で小さく文字を浮かべた。
『敵、皆無。緊張感ゼロ』
「父さん、それ言わないで……」
遺跡の奥。
かつて守護者が守っていた巨大な扉が、
ヒカリが近づくと勝手に開いた。
ゴゴゴゴゴ……
「うわ……また勝手に?」
「ヒカリがいるから遺跡が開くのは分かったけど……もう慣れちゃったなぁ……」
キキが肩をすくめる。
「ひかり、あけた!」
「いや、たぶん開いたのは遺跡の方……」
扉の向こうは広々とした宝物庫。
古代の金属箱、宝石の詰まった壺、
魔法加工された武具、見たこともない金属板。
光に反射してきらきらと輝く財宝が山のように積まれている。
「わぁぁー! ひかるー!!」
リーナは目を輝かせて駆け出す。
「リーナ、走らないで! 危ないよ!」
カイルは急いで追いかけるが、まだ少し酔っていてふらつく。
「カイルにーちゃん、よろよろー」
「うるさい……!」
そんなまったり時間。
ヒカリがそっと宝物庫の中央へ近づいた。
すると、宝物庫全体が淡く光りだした。
「……え?」
カイルが思わず息を呑む。
光はヒカリの周囲で渦を描き、まるで彼女を中心に“祝福”のように舞っている。
「え……ちょっと待って……これ、ヒカリの能力なの?」
キキが眉をひそめる。
「ひかり、うれしいの。ここ、すっごくながいあいだ、さびしかったって……いってる」
「い、言ってるって……宝物庫が?」
カイルが困惑する。
「うん。ここね、まってたの。だれかが、きれいって、いってくれるの……」
ヒカリが手を広げると、光が宝物庫の壁面に走り、古代文字が次々と浮かび上がる。
「うわぁぁ……解析したい……!」
カイルは目を輝かせるが、ヒカリが微笑んで首を振る。
「みちゃだめー。まだひみつ」
「ええぇぇぇぇ!? なんでぇぇぇ!?」
カイルが絶叫し、キキはお腹を抱えて笑った。
「カイル、幼児に情報封鎖されてるじゃん」
「ぐぅ……!」
父の骸骨ゴーレムは胸に文字を出す。
『息子、敗北』
「だからそれ言わないで!!」
宝物庫の奥へ歩くと、小さな祭壇のような物があり、その上にはカイルでも知らない“古代の魔石装置”があった。
「これ……ダンジョンの中枢に繋がってるやつじゃ……?」
「カイル、これね、まだいじっちゃだめー」
ヒカリはぺちっとカイルの手を叩く。
「うっ……!」
しかし、ヒカリの表情には不安が浮かんでいた。
「ここね……やっぱり、まだなにか、ねてる。おこしちゃ、だめ……」
「……え?」
キキとカイルは思わず背筋を伸ばす。
ヒカリは振り返り、胸に手を当て、小さく言った。
「こわいの、ある……」
宝物庫を照らす光が、ふっと揺らめいた。




