第114話 古代遺跡の守護者、まさかの“歓迎ダンス”
第四層の奥。
砂嵐の向こうに、古代の石造建造物が姿を現した。
砂に半ば埋もれた巨大なアーチ、倒れかけた柱、そして、ひんやりとした影を作る広い入口。
「ここだ……古代遺跡の中心部」
カイルは喉を鳴らしながら言った。
「ヒカリがいるから、こんな奥でも全然暑くないな」
キキは汗ひとつかかない頬を軽く叩く。
「りーな、すなのおしろつくるー!」
リーナは元気いっぱいで砂を掴んで遊び始めている。
そんな中、カイルは巨兵ゴーレムのパーツを次々組み立てていく。
父の骸骨ゴーレムも横で手伝いながら、胸部の光で文字を浮かべた。
『準備完了』
「よし、行こう!」
巨大な扉を押し開けると。
そこには、遺跡の最奥を守る番人が待っていた。
古代守護ゴーレム。
二階建ての建物ほどの大きさで、岩と金属が複雑に重なり合ったような重厚な体躯。
「良し、来た!第四層のボスが!」
カイルが巨兵の操縦席に飛び乗り、
腕を構えたその瞬間。
ゴゴゴゴゴ……
守護者ゴーレムが立ち上がる。
遺跡全体が震えるほどの重い足音。
「さあ、来い……!」
カイルが息をのむ。
しかし。
守護者ゴーレムは、戦闘態勢ではなく。
なんと、腕をゆっくりと横に広げ、腰をひねり始めた。
「……え?」
次の瞬間。
巨兵と守護者ゴーレムが同時に踊り出した。
くるんっ。
どすん、どすん……
くねり……。
「おいおいおいおいおい!? なんでだよーー!!」
カイルが叫ぶが、巨兵も勝手に守護者の振りに合わせてステップを踏む。
カイルは操縦席でぐらんぐらん揺られる。
「うっ……ちょ、ちょっと……揺れ……気持ち悪っ……!」
完全に“酔った”。
外で見ていたキキは頭を抱える。
「もうわかったわ……ヒカリのせいね、絶対ヒカリのせいね!守護ゴーレムまで歓迎モードになってる……!」
ヒカリはにこにこしながら両手を振った。
「おどってるー! かわいい!」
「かわいくはないよヒカリちゃん!!」
キキが全力で突っ込む。
リーナは笑い転げながら地面を転がっている。
「カイルにーちゃん、ふらふらー!」
父の骸骨ゴーレムは胸部の光で文字を出した。
『我、理解不能』
「こっちだって理解できないよ!!」
こうして第四層のボス戦は戦闘ではなく、まさかの“ダンスバトル”となり、カイルは人生初の「ゴーレム酔い」を経験するのであった。




