第112話 リーナ、初めてのダンジョンへ!
エレベーターゴーレムに揺られ、第一層へ到着したカイルたち。
今日はキキの魔法研究のためヒカリを連れて来たのだが。
「わぁぁぁー! ひかり、すごいにおい!」
「におい!? う、嬉しくない響き……」
「ちがうの! きれいなにおい!!」
リーナがヒカリに抱きつき、頬ずりする。
カイルが苦笑しつつ周囲の安全を確認した、その時。
ズルッ……ポフッ……。
茂みから巨大な湿地ガエル型魔物が現れた。
カイルが身構えようとした瞬間、信じられない光景が起きた。
魔物がヒカリを見た途端、立ち上がって、踊り出した。
「ゲコゲコッ♪ ゲェェェコッ♪」
(※リズミカルにステップを踏んでいる)
「えぇぇぇぇええええ!?!?」
カイルの絶叫が第一層に響く。
そして、ひとりだけ異様にテンションが上がる子がいた。
「ひかり、すごーい!!カエルさん、リーナのためにダンスしてるの!?」
「してないよ!? たぶん違うよ!?」
ヒカリの抗議は届かない。
さらに別方向から……。
**ぬるん……**と姿を見せたスライム。
通常なら警戒すべき魔物だが、ヒカリに近づくやいなや、
プルプルプルッ!
(※高速で震えながら回転する謎の舞い)
「うわぁぁああ!? なんで!? 何事!?」
カイルは完全に混乱する。
しかし、リーナは手を叩いて大喜び。
「スライムさーん!! もっとまわってー!!」
「ぷるっ!(まかせろ!)」
「返事した!? いま絶対返事したよ!?」
パニックになるカイル。
周囲の魔物たちもヒカリを中心に集まり、
まるで音もない祭りが始まったかのように踊り狂う。
「……ヒカリ、心当たりある?」
「な、ない……と、思う……。でも、ダンジョンのコアだったから……“管理者に会えてうれしい”って気持ちが魔物に流れてる……かも?」
「それ全員に伝わってるの!?魔物のダンス大会を開く権限まで持ってるの!?」
踊る魔物たちの中心で、リーナは笑顔全開。
「みんな、なかよし! ひかり、すごい!!カイルにーちゃん、これ毎日こよー!!」
「毎日は……! 毎日はやめてぇ……!」
キキと母は遠巻きに眺めながら、
「……研究どころじゃないわね」
「……でもヒカリ、ダンジョンの管理能力が上がってきてるのかも」
真面目な話をしていたが、当のカイルは踊る魔物たちに囲まれ、完全に魂が抜けかけていた。




