第111話 リーナ、ダンジョンに行きたいの!
その日の朝。
家の前ではキキが魔法道具を詰め込み、ヒカリは丸い小さなバッグを抱えて準備をしていた。
「よし、今日はダンジョンの魔力構造を調べる!ヒカリ、協力お願いね!」
「うん。キキ姉の研究、わたしが知ってること答えるよ」
そんな会話をしていると家の扉がバタンと開き、小さな足音が駆け寄ってきた。
「キキー! ひかりー! どこ行くのー!」
リーナだ。
まだあどけない3歳の少女は、毛布を引きずったままキキの足に抱きついた。
「ええっと……リーナ、今日はね、キキだけでダンジョンに……」
「ダメぇ!! リーナもいく!!」
キキの説明は最後まで言えなかった。
リーナはぷくーっと頬を膨らませ、今にも泣き出しそうな顔で叫び続ける。
「いくのー! ダンジョンいくのー! ひかりといくのー!!」
ヒカリは苦笑しながらカイルの後ろに隠れる。
「カイルにーちゃん……リーナこわい」
「違うぞヒカリ、あれは“妹の通常運転”だ……」
キキは頭を抱えながら母を見る。
「ね、ねえ……どうしたら……」
母はリーナの頭にそっと手を置いて微笑んだ。
「本当に危ないところじゃないんでしょ? 第二層の入り口付近だけなんでしょ?」
「い、一応……はい」
「だったら、私も一緒に行くわ。リーナも行きたいって言ってるし、危なくない場所なら大丈夫よ」
リーナはぱぁぁっと顔を輝かせた。
「いく!! ママといく!!」
ヒカリも嬉しそうに手を握る。
「じゃあ、わたしたち三人で探検だね!」
キキはため息をつきつつも微笑む。
「……はあ、仕方ない。ただし、リーナ! 危ないところには絶対に行かないこと!!」
「はーい!!」
「ぜっっったいよ!!」
「はあああい!!」
返事だけは満点に元気だが、理解しているかは怪しい。
こうして、研究チームにリーナという“最強に扱いが難しい小型魔物(?)”が加入し、ダンジョン軽探索へと向かうことになった。(ついでにカイルと父親も)




