第10話 二体目の実用ゴーレム
カイル、六歳。
スライムの魔石では限界を感じていた俺のもとに、団長ブルトがやって来た。
「約束通りだ。ゴブリンを狩ってきたぞ」
ブルトの大きな手から差し出されたのは、スライムのものよりもはるかに濃い輝きを放つ魔石だった。
内に緑色の光を宿し、どこか荒々しい脈動を感じさせる。
「これが……ゴブリンの魔石……!」
俺は両手でそれを大切に受け取り、思わず息を呑んだ。
ブルトは腕を組み、鋭い目で俺を見下ろす。
「カイル。お前が言った通りなら、その石で“本物”を作ってみせろ。次の材木運びで役立つなら、村にとって大きな力になる」
その言葉に、俺は力強くうなずいた。
すぐに作業に取り掛かる。
石を組み合わせ、前回よりも大きめの体を形作り、胸の中心にゴブリンの魔石をはめ込む。
「魔力、注入……」
静かに魔力を流し込むと、魔石が強く輝き、ゴーレムがカタリと動き出した。
スライムのときとは明らかに違う。
動きに安定感があり、まるで体の隅々まで力が満ちているようだった。
「よし……二体目のゴーレム、完成だ!」
数日後。
村人たちが森で伐採した木材を運ぶ作業が始まった。
「カイル、やってみろ」
ブルトが腕を組み、静かに見守る。
俺は深呼吸をして命じた。
「丸太を持ち上げろ!」
ゴーレムは丸太に両腕を差し込み、ゆっくりと持ち上げた。
前回のように崩れ落ちることもなく、どっしりと安定して立ち上がっている。
「す、すごい……!」
父トットが目を見開き、母クレアは胸の前で手を合わせた。
ゴーレムはそのまま丸太を抱え、指定された場所まで運ぶと、慎重に積み上げていく。
動きはぎこちないが、確かに人の手を助ける働きをしていた。
「おおっ……!」
村人たちの間から歓声が上がる。
ブルトも口元に笑みを浮かべ、重々しく頷いた。
「見事だ、カイル。お前の“魔法”は本物だ。これで人手不足も少しは補えるだろう」
その言葉が、何よりもうれしかった。
胸の奥が熱くなり、自然と笑みがこぼれる。
(次は……もっと効率よく、もっと力強いゴーレムを……!)
その日、六歳の俺は初めて実感した。
自分の“研究”がこの村を、そして世界を少しだけ動かす力になるのだと。




