魔王、推理する。
「その肉は盗んだものだな?」
ゼラ「はい?」
やはり態度には出ないか。肝が据わっているのか、はたまた慣れているのか。
ゼラ「そう思うのなら、なぜ私を助けたりしたのですか。」
「自らのものでなく、他のものの威を借りて力を振りかざす生き物が嫌いなだけだ」
本当は助けないところをほかの人間に見られたくなかっただけなのだが。
ゼラ「では、なぜ私を盗人だと思うのですか。」
「まずは身なりだ。お前は体も汚れているし、服にも油のような汚れがついているな」
ゼラ「お見苦しいですが。」
「その割には手がきれいすぎる」
ゼラ「…」
「それに身体も、かなり痩せて見えるが、それは栄養失調などによるものではないな。意図的に絞られたものだ」
「最後に、本当の貧乏人が、また盗人と疑われていた者が、お礼に家に泊めようとするだろうか」
ゼラ「あなたの言うことはすべて理に適ってはいますが、なんとでも理由をつけることが出来ます。」
そうだな。だが―
「これら全てが特殊な条件で肯定される状況より、お前が盗人である、と考えるのが自然だと判断しただけだ。間違いの可能性も十分にあるさ」
その華奢な身体を活かしてナイフを隠し持っていなければだがな。これは言わなくてもゼラには伝わっているだろうが。
ゼラ「まいりました。」
ゼラ「今まで誰にも見破られたことはなかったのですが。この町はここが潮時でしょうかね。」
「お前がどこで何をしていても私には関係ないし、当然住人に話すこともない」
ゼラ「それはどうも。では、こんなところを見られてもお互い困るだけだと思うので。」
そうだな。私もそろそろ宿へ向かうとしよう。
ゼラ「宿へ向かいましょうか」
何を言い出すんだこいつは。
ゼラ「あなたは貧乏な女の子をいじめから救った。その後は放置ですか?」
なるほどな。それでも自然だが、その後のことまでケアしたほうが評判が良いということか。つくづく頭の回る人間だ。子供一人くらいなら宿も断らない可能性が高いだろうしな。
「では宿へ向かおうか」
こうして私はゼラとともに、シュウメイの待つ宿へ向かったのである。




