魔王、助太刀する。
シュウメイ「ここが宿のようです。」
「ありがとう。先に入っていてくれ。私は少し村を見て回る」
シュウメイ「後で私にも避難経路など教えてください。」
見て回る、といっただけでそこまでわかるか。こいつには本当に最低限の言葉しか必要ないようだ。いままでもそうだったがな。ここで確定した。
さて、有事の際の経路、人間の関係性など見ておくとするか。
――――――
「中規模な村だと思っていたが、営みは街並みだな」
村を1周してみたが、学校や飲食店、居酒屋など一通りの施設は揃っているようだった。それに―
「金貸しまであるとは」
店の売り上げとみられる金をもって人が数人駆け込んでいく建物を見た。おそらくは金貸しだ。私も今となっては一文無しだからな。世話になることも考えたが、すでにシュウメイに借りている身だ。返せないものは借りないに限る。とはいえ金が無いのは不便だな。
?「やめて!」
なんだ?
?「返して!」
どうやら子供がいじめられているようだ。見たところ服もボロボロだし、体も汚れている。油汚れのようなものが多いところを見ると、機械を扱う仕事をしている者だろうか。いや、それにしては…
?「助けて!」
ああ、目が合ってしまった。本来なら人間など放っておくのだがな。今の私は人間に見えている。ここで何もしないとこの村での立場を追われかねない。仕方ないな。
「何をしている」
子供A「なんだお前!」
子供B「見たことねぇ顔だな。」
「ただの旅人だ。で、何をしている」
子供A「関係ねぇだろ!」
「ああ、関係ないな。よくわからないからこの先の家の者にでも聞いてこようか」
子供「「は?」」
子供B「もういこう。」
子供A「は?おい待てよ!親に言われるからってビビったのかよ!」
子供B「おいバカ!」
どうやら当たっていたようだ。さて。
「おいお前。大丈夫か」
?「はい。ありがとうございました。」
「なぜこんなことになったのだ」
?「私が貧乏なのに、肉を持っていたからです。」
なるほどな。
ゼラ「私はゼラといいます。」
「そうか。ゼラ。気を付けて帰るといい」
ゼラ「待ってください!なぜ、なぜあの子の家を知っていたのですか?」
「なぜそんなことを聞く」
ゼラ「あなたは旅人と言っていました。この村で昨日まで見たことが無いということは来たのはおそらく今日。そんなあなたがなぜ知ることが出来たのか気になるのです。」
ほう。やはり頭は多少切れるようだな。
「あの子供は身なりがよかったな」
ゼラ「はい。」
「この村をみたが、潤っていそうな家は3つ。そのうち2つはここから少し離れたところにあった」
「そして今の時間帯は子供なら帰る時間だろう。その途中でお前を見つけ、ちょっかいをかけたと考えるのが自然だ」
ゼラ「それでこの先にある大きな家があの子の家だとわかったのですね?」
「ああ」
ゼラ「すごい…ありがとうございます!ぜひお礼をさせてください!」
ゼラ「泊る所は決まっていますか?」
「ああ、同行者が宿をとってくれている」
ゼラ「そうでしたか…では、何かお困りのことはありませんか?」
「いや、大丈夫だ。それより…」
「その肉は盗んだものだな?」
これが、ゼラとの出会いだった。




