表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/23

プロローグ

新作はじめます!

それほど長くはならない予定です!


プロローグが短いので、12時ごろに第2話を投稿予定です!

「オレリア……」


 切ない声でオレリアを呼んだ夫ルクレールが、視線を虚空に彷徨わせてから、そっと手のひらを宙にかざした。

 オレリアは、自分が見えていない夫の手に、おずおずと手のひらを合わせる。

 オレリアの手の感触もルクレールには感じられないだろうが、オレリアの手には、確かにルクレールの熱が感じられた。


 ――ここにいます。


 開いたままの日記帳にペンを走らせると、ルクレールがそれを見てゆっくりと、オレリアの指をからめるように指を曲げた。

 オレリアも、同じように彼には見えない手を、彼の大きな手にからめる。

 オレリアの体が透明になって、もうすぐ一か月がすぎる。

 オレリアの透明化が元に戻るまでは、あとおおよそ二か月だ。


(まだ二か月もあるなんて……)


 こうして触れているのに、ルクレールの瞳にはオレリアは映らないし、感じてももらえない。

 それがどうしようもなく苦しくて、オレリアはきゅっと唇をかんだ。


「オレリア。……オレリア。俺は、君に謝らないといけない」


 ルクレールがかすれた声で告げる。


「俺はあの日……初夜の日、君にひどいことを言った。君を傷つけた。謝ったところで許されるわけではないとわかっているけれど……」


 すまない、と。

 震える声でルクレールが告げる。


「っ」


 オレリアは彼とつないでいた手を離すと、反射的にルクレールに抱き着いた。


「そんなの、いいんです……!」

 義母リアーヌから、ルクレールが過去に女性からひどく傷つけられたことがあると聞いた。

 詳細まではわからないが、傷ついたルクレールが女性不信になっても、それは仕方のないことだ。

 オレリアがいくら彼をぎゅっと抱きしめたところで、ルクレールには伝わらないだろう。

 けれども、オレリアは小さく震える彼を、抱きしめずにはいられなかった。


「君が、俺との離縁を選んでも仕方がないとわかっている。でも……」


 ルクレールはそこで言葉を詰まらせた。

 オレリアはルクレールに抱き着いたまま、ぶんぶんと頭を横に振る。

 ルクレールは、夏の空のような綺麗な青い瞳を揺らしながら、絞り出すように言った。


「……そばに、いてくれ…………」



お読みいただきありがとうございます!


面白い、続きが気になる!など感じていただけましたら、そのタイミングで構いませんので下記の☆☆☆☆☆にて評価を頂けますとはげみになります!


どうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 
透明人間
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ