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時間探偵  作者: ライク
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蘇り

 ヤバい。これは本気でヤバい。おそらくは、軍事用ナイフが腹に刺さっている。全身から力が抜け、硬く冷たい路地裏の道に倒れ込む。遠のいていく意識の中、真っ赤な液体が視界にはいる。--ああ、これ全部私の血か。身体から熱が抜け、全身が冷え込む。もう、痛みも感じなくなり、意識も遠のく。まさか、冤罪で殺されるとは、探偵として情けない。あの家から抜け出し探偵になって次は死とはなんとも嫌なものだ。遠のいていく意識の中で考えると急速に遠のく。最後に耳にしたのは、喜びのような悲しみのような泣き声。


 十分前。仕事が終わり薄暗い路地道を通り私が経営してる探偵事務所に歩を進める。数分歩くと見慣れた事務所が視界にはいり三段造りの階段を上ろうとした時、後ろから小走り音が聞こえ、背中に激痛が走った。全身から力が抜け倒れ込む。五年前に私が解決した事件の加害者の娘が目に映る。ーーああ、逆恨みか。と私は思い力を振り絞り彼女に問う。泣きながら「冤罪よ。私の父は犯人じゃないのにアンタの推理のせいで死んだのよ」と彼女は答える。

「えん...ざい...」

あり得ない。冤罪なんて、あり得ない。だが、彼女の憎しみの顔を見るとそれも納得してしまう。全身から力が抜け意識が薄れていく中、私は最期に五年前の男爵家事件に戻りたいと思った。


 ここは、天国かそれとも地獄か?いや、地獄にしては余りにも奇麗で真っ白な地面?と空?が映る。生れて二十六年、白一色の世界を見たのは初めてだ。天国に行けたことを嬉しく思うが、少し、いや、かなりの罪悪感と背徳感を感じる。ほんとに、天国に行っていいのか?冤罪を起こしたかもしれない私が幸せを感じていいのかと何度も何度も考える。考えていると、後ろから足音が聞こえる。生前、足音にいい思いがないので、警戒して後ろ振り向く。ドガ(古代ローマ服)で身を包み、服よりも白い肌に、白銀色の髪、蒼い瞳に薄ピンク色の唇の幼女?が立っていた。彼女は言葉を発することはなく、イスと机を作りだした。その光景を見た私は彼女のことを女神だと思った。イスに座る様にと彼女は促してきた。私が座ると彼女もイスに座り口を開いた。

 

「私は女神ではなく神だよ」鈴のような声で私にいう。まるでさっき、考えたことを否定されているようだ。神と名乗る幼女に疑問をぶつける。

「もしかしてだが、私の考えをよんだのですか?」

「まぁ、よんだみたいなものだよ。でも、正確にいうと感じたようなものだ」

「感じたとは?」更なる疑問を神に聞く。

「君の表情や仕草、視線をみて想像したようなものだ」

自分が思っていた答えと違い拍子抜けする。てっきり、神の技とかSFじみた答えがかえってくると思たからだ。


 「君は人に刺されて死んだ。それも、昔に解決した事件の加害者の娘にこれで、間違いないか」

突然の質問に戸惑うも「間違いない」と答える。

「そして、君は刺された原因である五年前の事件に戻りたいと思った。」

「戻れるなら、戻りたいです。もし、冤罪であれば私は取り返しのつかない間違えを犯しました。それを、償いたいとも思っています。神様、あの事件は冤罪だったんですか?それとも、私の推理があっていたんですか?教えて下さい、お願いします」深々と頭を下げた。

「その件については答えることはできない。でも、君にチャンスをあてえることはできる。」

チャンス?これを問おうとすると彼女は続けて言う。

「蘇るチャンスとタイムストラベルとタイムリープの力を与えることだよ。君がこの力を使いこなし、事件を解決するのだよ」

「その...時間を行き来する条件ってあるんですか?」

「条件は二つ。一つ目は死ぬこと。二つ目が重要で事件であること。もし、事件でなければ君は死ぬことになる。君はその、頭で境界線を見極め自殺をすればいい」

その境界を見極められなければ死ぬということか。

「それと、行ける時間や時代は君は決められない。世界が決めることだから」

意味が分からない。世界が決める?

「そこまで深く考える必要はない。私が言った条件を守り、方法を知っていれば問題ないよ。それに、困ったら私が全力で君をサポートするしさ。君はただ、自分の役目を果たせばいいんだよ」神は優しい笑顔を浮かべ私に言う。


 ゴーン、ゴーン、ゴーンと鐘のような音が聞こえる。辺りを見渡すが鐘のようなものはない。これも、この神の力なのだろうか?

「そろそろ、お別れだ。最後に言いたいことはあるか?」彼女が私に問う。

どうやら、この鐘音が終了の合図みたいだ。最後に質問するようなこともないので私は神に言う。

「私の名前はハインリヒ・リヒテンシュタイン。よければ神様、貴女の名前も教えて下さい」

「本当のことは教えてくれないか。まぁ、いいか。私の名はーーーー」

何かに遮られ聞こえない。それにしても感ずかれていたとは流石は、神というところか。

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