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タンクに決まってるじゃない

そのあとしばらく、俺はこの世界エイスス、そしてエルデン国の常識を学ぶことになった。


そうは言っても、魔王軍の脅威がある中だ。一週間で最低限を叩き込み、そのあとすぐに彼女と二人で出立というスケジュールになった。


朝から深夜まで講義と訓練が続き、へとへとになる日々だ。


それでもカリキュラムはよく練られているようで、飽きたり倒れたりすることはなかった。


ただ、この世界の人たちと比べて、身体能力も、知能も、魔法の行使も、劣るところばかりだった。


そりゃそうだ。亜人に身体能力で勝てるわけないし、地球で二流大学出身だった俺がいきなり賢くなるわけもない。魔法だって、これまで使ったことが無いんだから、いきなりまともに使えるわけがなかった。


「チートぉ・・・チートが欲しい・・・これじゃ勇者として活躍できないよぅ・・・」


二日目の夕方、心が折れた俺を見た教師は早めに講義を切り上げ、夕食につなげて2時間ほどの休息をくれた。


我が身ながら、二日で心が折れるとは早い。


与えられた自室で、夕食までの空き時間をベッドでぐったり過ごしていると、コンコン、とノックの音がした。


「はい」


「失礼しますよー」


メイドを伴って、着飾ったアウグストが入ってきた。


俺は起き上がる気力もなかったが、アウグストは気にせず部屋の椅子に座った。


「お疲れのようね。講義、減らしてもらいましょうか?」


「いや、必要なことだろうし・・・」


必要なことをサボって困るのは自分だ。それが分かっていても、周囲が優秀な人材ばかりだと非常に辛い。


俺の勇者適性ってなんなんだよ。盾とか出せたり変形させれたりするのかなぁ?


「減らしても大丈夫だけど?」


「え?」


タンクとして盾や剣を振るったりするのだから、体力は必須だろう。


それに知識だって絶対に必要だろう。魔物の弱点とか特徴を覚えておかないと戦えないし、薬になる草ぐらいは知っておきたいし、地図が頭に入ってないと迷ったときに困る。


俺たちは二人だけで魔王に挑むってアウグストと王様が会話してたような。


減らしても大丈夫ということは、つまり、アウグストが知識系は完璧ってことか?


「・・・講義系は受けなくても、アウグストさんが全部やってくれるってこと?」


「そうだけど?」


何を当たり前のことを、という表情で返してくるアウグスト。彼女は冗長性とか、そういう概念を知らないのだろうか。知らないとすると、教えてあげなくては。


「君が怪我したり、意識がなくなったりしたらどうするんだ。俺が知識を持っていれば何とかなるかもしれないだろ」


「私が怪我してる時点でパーティーは全滅よ」


・・・確かに、それはそうかもしれない。


今の俺ではまったく戦力にはなれない。


もし仮に、例えば盾の勇者として覚醒しても、それはつまり、攻撃手段が乏しいということだ。


魔法使いである後衛のアウグストが怪我をする状態となれば、ほぼ詰みと言える。


「じゃあ俺は、知識系の講義は少な目にして、訓練を多めにした方がいいか」


「???」


本気で不思議な顔をしている。


俺の言葉のどこがおかしかったのだろうか。


「・・・まぁいいけど。難しいことは考えず、私に振り回される覚悟だけしていてもらえればいいから」


ああ、これはつまり、俺の勇者としての能力が覚醒していないせいか。彼女はもう覚醒してると信じてるんだな。


こうなると、俺も覚醒していないとは言えない。恥ずかしくて、とても。


明日からの訓練も全力で取り組もう。そして、アウグストの期待に応えなくてはいけないな。


「なぁ、なんかアウグストってキャラ変わってないか?」


「そう?こっちが素なの。アースだと空気中の魔力が薄くって、かなり気を張ってたのよ」


まぁ、ツンデレも嫌いじゃないけどさ。


「あ、そうだ。勇者適性って言ってたよな」


「ええ、言ったわ」


「俺は、何の勇者の適性があるんだ?」


彼女は心底おかしそうに俺に言った。


「もちろん、タンクに決まってるじゃない」


感想で指摘を受けた部分(8話時点で未知の情報が含まれていました)を修正しました。ご指摘ありがとうございました!

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