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かなたの実話

勢い

作者: ヒカリノカナタ

◎勢い


僕はもう麻雀を仕事にして20年以上になるベテランだ。

だがまだ記憶力は落ちない。毎日頭をフルに使うからそれがいいのか、記憶力の衰えを感じた事はない。

では体力はどうか。

そんなものは元からない。ない力振り絞って、

精神力だけで切り抜けてきたのだ。


しかし、明らかに一つだけ落ちたものがある。

引き換えにしたと言ってもいい。


僕は勢いが、落ちた。


20数年の月日は僕に膨大な量の知恵を与えた。気付いていったと言う方が正しいか。

しかし、それを受けて、落ちた大切なもの。それこそが勢いだった。


知恵があれば勢いに任せずとも対処できる場面というのは良くある。

だがここで忘れてはならない真実がある。

それは、逆もまた然りであるという事。

つまり、勢いがあれば知恵など吹き飛ばしてしまえる。そんな場面もあると言う事実。


知恵という理性で戦うか

勢いという野性で戦うか


それを使い分けが出来るようになれば完璧へとまた一歩近付けるのであるが、身に付いてしまった知恵は勢いを否定する。知恵ゆえの結論となれば良いものだと思い込んでしまう節があるのが人間だ。


そこを、いやまて。と勢いの主張を貫いたのがこの手。



オーラス僕はトップ目で親。対面は2着目で2400点差だ。

そこに3着目の上家からリーチが入る。上家とは13000点差ありマンツモ被害まではトップキープだ。

そこで僕はピンフドラ1の1-4テンパイ。降りていればツモられてトップの展開があるが待ちはいそうだし手から出る牌も本命ではない。むしろ、やや安全寄りの牌だ。

まずはここはダマテンで。降りないなら誰もがそう考えるだろう。


だが、今回の対面は強敵だった。僕が弱腰になれば間隙を突いて踏み込んでくるのは目に見えてた。この対面は超一流のファイターだ。

それに比べて上家は凡庸な打ち手なのでキチンと流局までにあがってくれるか分からない。


だとしたら!


「リーチ!」


僕はここでリーチにした。マンツモられは3着になる選択だ。決して利口な判断ではない。しかし、それにより対面のファイターの攻撃をやめさせることさえ出来るなら!


内心ハラハラした。この対面がそれでも降りなかったらどうしよう。降りろ!たのむ!降りて下さい……!と僕は祈る。


すると、


…ペショッと対面のファイターから僕の現物で先制リーチのスジな牌が出る。次巡も同じく、つまり降り。


超一流のファイターでもこの場面になればさすがに降りてくれた。


あとは、上家との一騎討ちだ。であるなら1-4テンパイは強い。


結果は



「ロン。」


4を上家から出アガる。裏も乗って12000


これは上家と対面のプレイヤーがポジション逆なら絶対にしてないリーチであった。それぞれのプレイヤーの力量を見極められるいうのも一流プロの条件だ。




ちなみに、雰囲気から察するに対面は降りた事でアガリを逃したようだ。


相手を強敵と認めるからこそ

勢いに任せて力でねじ伏せないと勝てない時もあるのである。



対面は僕のアガリを見てひと言。



「役あり…だと…?」


「ええ、敬意を表したつもりです、逆にね」


「…やられた、まじでやられた」


結果的に負けたことを彼はやられたと言ったわけではない。降りの判断を誘導されまんまと乗ってしまったことに対して、やられた。と言ったのである。


勝負師には勢いを凌駕する知恵がなければならないが、同時に

勝負師には知恵を吹き飛ばす勢いがなければならない。



今日は絵の個展を見に行く。

芸術に触れることで、自分の本能。勢いを呼び覚ますことになる気がするから。美しいものは本能を活性化する。そんな気がしてる。


冷静沈着かつ大胆に。矛盾する真逆のものをどちらか一方だけにするのは良くない。全てを鍛えてあらゆる場面で全てに勝て!

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― 新着の感想 ―
[良い点] よい勝負でした!ありがとうございました〜♪
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