戦うのは今だ。
「オルー!朝ご飯は食べるのー?」
朝から母の甲高い声が家に響く。
「いらなーい!」
そう言うとオルは素早く制服に着替えた。そしてオルは家を出て、自転車で学校へと向かった。オルは16歳の至って普通の男子高校生だ。好きな食べ物はスクランブルエッグで、嫌いな食べ物は豚の脂身。好きな曲のジャンルはクラシックで、部活はサッカー部。休日は友達と近くのショッピングモールに行く。至って普通だった。この日までは。学校へ着くと、いつも通りの風景が広がっていた。そして、ホームルームが始まった。そんな時、廊下からこれでもかと言うくらいの多数の足音が聞こえてきた。そして、教室のドアは蹴り飛ばされた。教室からは悲鳴が上がった。ドアを蹴り飛ばしたのは、何かの組織だった。ガスマスクをつけており、鉄の鎧で覆われていた体は、皆筋骨隆々であった。ガスマスクをつけていたので声は籠っていたが、唯一聞こえた言葉があった。"オルめ!ここに居たのかッ!"そう言うとガスマスク隊は次々と膝から崩れ落ちて行った。そして、首が取れていた。後ろから出てきたのは、一人の男であった。生身の人間であり、これといった武装も武器も持っていなかった。大きいハットに白いTシャツを着ていた。男は、「ほう...ここに居たか...ようやく見つけたぞ...。」と言うと、オルの方へ真っ先に向かっていった。逃げるクラスメイト。オルは表情が引きつっていた。「お...俺をどうする気なんだ...?」すぐにでも泣きそうな声でその言葉を振り絞ると、男は「素質はあるな...。私の所へ来い。全てを説明してやる。」そう言うと男はオルの手を掴んだ。そして、次の瞬間、オルと男は館に居た。