大魔法使いの弟子の初陣の話
それは帝国と魔国がまだ不仲だったころの話
帝国は第一皇子率いる大軍勢を魔国に差し向けた
遮るものもなく歩みを進め平原で一夜を明かそうとする帝国軍
明日にはいよいよ魔国にたどり着く、そんなとき、魔国からのたった一人の襲撃はあったのだ
その者は大魔法使いの弟子、今でこそ様々な異名を持つがが当時はあの変人が久しぶりに弟子を取ったと少し噂されたぐらいだった
その変化は一瞬だった
まず、真夜中であるはずの周囲が真昼であるかのように明るくなった
見張っていたものがあたりを見回してすぐはるか上空にその光源があることに気づく
まるで太陽のようなそれを見て、本能的に恐怖を感じた見張りたちは大騒ぎしながら逃げていく
次に圧倒的な魔力に気づいた魔導士たちや、そのほかの目ざといものたちも思い思いの行いをしたが戦いにはならなかった
その太陽のような人型の光が生み出した、恐ろしい威力の炎の竜巻が最も立派な陣、第一皇子の陣を焼き尽くしたからだ
その場にいるものは焼き尽くされるそれを眺める事しかできなかった
炎の竜巻が消えたとき、その周辺には何も残っていなかった、いや…
あえて残しておいたのだろうか、煤焦げたあの輝かしい帝国の軍旗が上空を漂っていた
せめてそれだけは拾わねばならぬと思ったのか、手を伸ばそうと近寄るものもいた、だが軍旗が残っていたのもつかの間のこと、すぐ燃え落ちて消えていった
それが彼の大魔法使いの初陣の話、あまりにも鮮烈なものだった