ギルド
「おや?懐かしいな。ビリー&マリー、何年ぶりかな」
ギルド内に入ってすぐごっつい体をしたおっさんが親父とお母さんを見つけて話しかけてきた。
「ハンソンこそ元気だったか?」
「ああ…この通り」
ハンソン・エドワード、両親と会話をしているごっつい体をしたおっさんは、超力ハンソンの異名を持つウィステリアで有名な5大冒険者の一人だ。彼とパーティーを組みたいという冒険者は山ほどいる。
しかし、ハンソンとパーティーを組めるのは、ハンソンが認めた相手しかいないのだ。
「ところで、ビリー、今日は何をしに来たんだ?」
「ああ…そうだった、こいつが息子のレイフだ。宜しく!!」
いきなり俺を紹介したその時だった。俺の後ろから
「あれ?レイフじゃねぇか?」
俺に気付いたのは同じ学校にいた剣士(見習い)のジミー、そして、魔法使い(見習い)シェリーが
「冒険者の適性を持っていない奴が何でここに来たんだ?」
更に魔法使い(超初心者)ヘンダーソンがやってきた。
「ホントだ?ノンアピのレイフだ」
そこへ先生らしき人が
「君たち、私語は慎みなさい。これからギルドでの仮登録手続きをしますから、あそこに並んでいなさい」
「「「はーい」」」
こうして彼らは初心者受付へ歩いて行った。と思ったら一人の女の子が俺に近づいてきた。
「あなた!!私とパーティーを組まない?」
「へ?」
俺が驚いていると先生が駆け寄ってきた
「アスカ!!君もこっちに来なさい!!」
「せ!!先生1!ちょっと」
彼女は先生に引きづられて連れて行かれた。
しかし、ハンソンと話が弾んでいたとはいえ、息子があんな目にあっているのすら気付かないとは情けない両親だと思っていると
「レイフ!!お前はこっちだ」
俺は、両親とハンソンに連れられ、別の受付へ連れて行かれた。そこには赤毛の女の人が座っていた。
「ビリー、マリー、それにハンソン、今日はどうしたの?」
「フーケ、こいつを登録してくれ」
俺を一瞥した彼女は、
「君、この水晶に手をかざして」
彼女に言われるまま手をかざした。そこに映し出されてものを彼女はじっくりと見ているが俺には青白い光しか見えない。
「ふーん…魔導騎士か…ええええ?、魔導騎士??この少年が?うそー!!」
すると彼女は俺のところまできて
「君、おねぇさんとパーティー組まない?いろいろとお姉さんがおしえてあげるから」
ゴーン!!
「ケイト!!相変わらずだね。その下心見え見えなところは」
「痛ったーー!!マリー何も叩かなくても」
「私の息子になんてことを!!」
「わかった。わかっった…って、マリーとビリーも息子なの?」
「そうよ」
「だったら、魔導騎士もあり得るって‥ちょっと待って?今年の適性検査の報告には、魔導騎士なんていないわよ。しかも、こんなハイレベルの」
「だから…ここに来たんじゃねぇか。おめぇだったらうまくスルーできるじゃろ」
「わかったわよ。うまくやっとくから…」
こうして俺はギルド登録を済ませた。
ロビーに戻るとジミー達が騒いでいた。
「今日から俺たちは、冒険者だ!!」
そして、俺を見つけると
「あ!!レイフ。これを見ろよ!!」
自慢気に俺に見せてきたのは、(仮)ギルドカードだ。自動車免許での仮免みたいなものだった。そんなもの見せられても、と思っているとアスカという少女が現れ
「あなた、私とパーティーを組まない?」
「アスカ!!何もこんなやつと組まなくても」
「そうだ!!ノンアピ!!と組まなくても」
無適性を意味する言葉だ。それを聞いても
「なによ!!あんたたちだって、見習いレベルじゃない!!」
すると先生が止めに入った。
「喧嘩はやめなさい」
なんかごたごたもあったけど、ギルド登録を終えた俺は、ハンソンと一緒にモンスター退治をしに行くことになった。