異世界転移
面白い話を書けるか分かりませんが、世界観を意識して面白い異世界転生物を書けたらいいなと思います。
……ここはどこだ?
目が覚めると、そこは見慣れない街。
どうして俺はこんなところに……?
◇◇◇◇◇
ヤバい、実にヤバい!!
もうすぐ『迷探偵コソン』が始まってしまう!
今日は体育祭のあと片付けで学校が長引いてしまった。
走りながら腕時計を見ると、針が指していた時刻は5時56分。
あと4分じゃねーか!
急いでいるあまり、つい信号を見ないで横断歩道を渡ってしまった。
ふと信号を見ると。
「赤信号じゃねーかーッ!!」
◇◇◇◇◇
ああ、俺は車にひかれたんだっけ?
それで吹っ飛ばされてここに来たということか?
でもそれにしては無傷すぎる。
だとしたら有り得るのは、最近小説とかで流行ってる『異世界転移』とか?
いやいや、非現実的すぎだろ。
期末テストワースト一位になったことがある俺でもそれくらい分かる。
とりあえず街の人に聞いてみれば何か分かるかもしれない。
あそこに優しそうで美人な女の人がいる。
あの人に聞こう。
「あのう、すみません。ここはどこですか?」
「どこって、決まってるじゃない。ユバスキャラよ。変なこと聞かないでよね」
俺の感が間違えていたようだ。
というかユバスキャラってなんだ?
街の名前か?
そんな街、聞いたことない。
街の人々は不自然な剣を持っていたり、ごつい鎧を着ていたり、これから魔王討伐にでも行くかのような服装をしている。
間違いない。
これは異世界転移だ!
◇◇◇◇◇
榎本涼。俺の名前である。
見たことのない食べ物、見たことのない街。
俺、榎本涼はそんな異世界に興奮していた。
すげえ、なんか分かんないけどすげえ。
窓に顔を引っつけて店内を除くと、店内にいる全員がゴミでも見るかのような目でこちらを見てくる。
しかしそんなのはどうだっていい。
俺は異世界を観光したいのだ。見て回りたいのだ。
他人の目なんて気にしてどうする。
「あなた、何してるの?」
顔を窓から離して振り返ると、身長が低めで艶やかな銀髪が特徴の美少女が立っていた。
俺の一つ年下の14歳くらいだろうか。
思わずそのしっとりとした銀髪に見とれていると。
「え、あの、そんなに見ないでよ……。あなた、街で噂になってるよ。変な奴が現れたって」
と、聞き捨てならないことを言い放ってきた。
「変な奴だって? そんな言い方をするんじゃない、初対面だぞ」
「でも、もう街で変な行動はよしてよね。そうしないと、お縄にかかっちゃうよ」
なんと。
この世界にも警察がいたとは。
「分かったよ。もうこんな変人みたいなことはしないよ」
異世界を観光したいけど警察に捕まるなら仕方ない。
諦めてトイレにでも行こうとしたときだった。
「いたぞ! お前だな!」
え?
「あぁ……手遅れだったね」
え、え、嘘だろ?
警察?
「お前だな。私は警察の者だ。女子トイレを覗いた上に万引きをして、更に裸で街を歩いていたとか通報があったぞ」
「いやしてないから。俺そんなことしてないから」
誰だよそんなデタラメな通報したやつ。
ぶっ殺されたいのか?
「この人は何もしてないですよ。というか、さっき私を助けてくれたんです」
あれ?
この少女、俺を庇ってくれてる。
「なんだと? でもそいつは……」
「ホントです! この男の人は女子トイレを覗こうとしていた男性を追い払ったんですよ」
「そ、そうか。私の間違いだったのかもしれない……すまなかった」
警察官は見事少女の言葉に乗せられてどこかへ行った。
この世界の警察は何か甘くないか?
でもこの少女にはお礼を言っておかないと。
「ありがとう、助かったよ。俺のヒーローとして、名前を教えてくれたまえ」
なぜか俺は上から目線で身長の低い少女に言うと、少女は眉間にシワを寄せて『めんどくせーな』という見て丸分かりの表情で答えた。
「私はエレノア。あなたは?」
そんな表情に俺の顔は引きつったが、助けてくれた少女だったので正直に答えた。
「俺はリョウ。よろしく」
俺が手を前に出すと、エレノアも手を前に出して握手を交わした。