~俺がある日突然未来が視えるようになった件について~
現役中学生、受験生です。
小説を書くことは好きです。
未熟な点もあると思いますが、どうか最後まで読んでいただけると嬉しいです。
1.
ピピッ ピピッ
アラームが部屋に鳴り響く。
「眠・・・」
起き上がった少年は目を擦りながらアラームを止めた。
ピッ
神田紘也、中三。
アラームを止めると俺は、早速机に向かった。
朝起きるとすぐに机に向かうのが俺のルーティンだ。
でも、いくら受験生だからと言って、勉強しているわけではない。
「フューチャーノート NO.9」。
もうこのノートを使い始めるようになって、一年経つ。
一年前から毎日欠かさず書き続けているノートだ。
俺はノートを開いた。
「7月11日、事件:国語科の桐島智美が黒板消しをうっかり飛ばし、それが川本綾乃に付く」
これは今日、夢で見た内容だ。
国語の教師が俺のクラスのヒロイン、川本に黒板消しを当ててしまうという内容だ。
川本がチョークの粉を被って真っ白な姿が気の毒な夢だった。
俺は最近、よく夢を見るから記録として残すようにしている。
正夢になった夢なんか、これっぽちだけどな。
「はいでは、今日は俳句の季語について学びます。」
国語は2時限目だった。担当の桐島智美(通称:トモババア)は化粧がケバい五十路のオバさんだ。
語尾を強調するのが癖だ。ほら、今日も「す。」が極端にスースー言っていて笑える。
「教科書は35ページ、ちょっと神田くん、教科書を開きなさい。」
げ、忘れたのがバレる。さっきの休憩時間に他クラスのやつに借りときゃ良かった。
「わ、忘れました。」
「なんですって、どうして忘れて来たことを隠しているの?バレなきゃいいとでも思ってるの?」
隠してないじゃん。今ちゃんと自供しただろ。人の話ちゃんと聞いてたのか、このオバさん。
「忘れ物を繰り返すと願書を出し忘れたり、受験票持ってき忘れたりするのよ」
ほらでた。中三教師あるある。なんでも受験に結び付ける。
ってか、願書出し忘れる受験生がどこにいるんだよ。受験票持ってき忘れるやつとか受ける気ないだろ。
俺はそんなバカみたいなやつとは違うんだよ。
「次回必ず持ってきます。」
「よろしい。今日は仕方ありませんからおとがめなしとしましょう。」
もうあんたすでに俺にとがめてるだろうが。日本語理解してないくせに偉そうにもの言うなよ。
ってか、さっきから思ってたんだけどあんた俺に近づくとものすごい香水のにおいがするんだけど。
鼻が悲鳴をあげてる。
「俳句は季節の言葉が入っていることは前回習いましたね。そういったものを何と言いましたか。
はい、今日は11日、上菅くん。」
これも中学生あるあるだ。日にちで出席番号が当たっているやつを当てる。
いーよな、32番以降のやつは。
「季語」
「お見事。正解です。」
何がお見事、だよ。こんなの小学校でやったやつじゃねーか。
「では、季語が用いられていて、俳句の字数に沿っている句を何と言いますか。
はい、次、12番の神田くん。」
トモババアは、俺が教科書を持っていないからカンニングができないので、気持ち悪いくらいニヤニヤしている。そんな顔しているから、未だに独身なんだろう。
「有季定型」
俺は吐き捨てるように言った。予習済みだよ、残念だったな。
「正解です。」
お見事、はねーのかよ。明らかに季語より難しいぞ。
「まあこれくらいは皆さん分かりますよね?」
勝ち誇ったような話し方がウザい。しかも周りをよく見ろ、みんな近くの秀才に聞いてるじゃないか。
みんなこれくらいさえ分かってないんだよ。
それに、周りが見えてないから、自分が周りのマダムから置いていかれていることに
気づかないんだよ。いや、「老いていかれる」の間違いだな。
「では、今から各自で俳句を作ってもらいます。できたら私のところに持ってきてください。」
はいできた。
{ケバ臭い 五十路のオバさん 夏の空}
うーん、真ん中までは傑作なんだけど。季語を入れないとダメだから適当に当てはめてみた。
一気に微妙になった。
これをトモババアに持っていったらどうなるだろう。
やめた。またあの顔面を間近で見なくちゃならない上に、香水がにおって鼻が瀕死になるかもしれない。
「先生、ちょっと質問していいですか?」
そう言ったのはクラスのムードメーカー的存在、嶋津秋吾だ。
「あのー、季語さえ入れれば俳句は成り立つんですか?」
「もちろん。まあ無いのもありますが。」
「じゃあ、今から詠むのはいいんですか?」
「言ってごらんなさい。」
{1週間 セミと寿命が 同じババア}
「ぷっ」
先頭の席の平塚誠が吹き出した。他のみんなは必死に笑うのを堪えていた。
「平塚くん、どうかしましたか?」
「何もないです」
「というか、嶋津くん、この句はどういう意味ですか?」
「えっと、セミと同じでトモババア、じゃなかった、先生の寿命も1週間って意味です」
正直、俺は嶋津のこの言葉を聞いて本気で大笑いしそうになった。
「なあ嶋津、寿命じゃなくて賞味期限じゃないか?」
「いや。賞味期限ならもうとっくに切れてるだろ、トモババアの賞味期限は」
「お前ら、アドバイスありがとうな」
周りの男子たちが変な入れ知恵をしてしまったから、嶋津は調子に乗って、句を練り直した。
「整いました」
何年も前に流行った、ね●っちのセリフで、嶋津は再び詠んだ。
{トモババア セミと同じく 短命だ}
これはウケた。普段笑わないやつでさえ、大ウケだ。
その時、俺はふと思った。
[この展開、知ってる。]
「トモババアとは誰ですか?」
トモババアの声は尋常じゃないほどドスが効いている。
「先生の事です。」
嶋津が恐る恐る口を開いた。
[これは]
「なんですって?」
トモババアがすごい形相で怒っている。
[紛れもない]
トモババアが堪忍袋の緒が切れたのか、黒板を叩こうと手を振り上げた。
[昨日の夜に見た夢だ!]
「いい加減にしなさい!」
その時、黒板がものすごい音をあげた。
そして、同時に振り下ろした時に手が黒板消しに当たった。
黒板消しが宙を舞う。
それは、あまりの大きな音に驚く生徒たちの中の一人、
先頭に座る女子生徒=川本綾乃に向かっていたー。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
感想を書いていただけると嬉しいです。
次回もご期待ください。




