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そう言えば思い出したくないことを思い出したな

適当な棒を加工して、かぎ針を作り、編み物を始めた。簡単なモチーフを編んでいく。

「面白いですね」

 アレンドロは私のすることが珍しくてしょうがないようだ。

「その布は織ってあるよね」

 アレンドロの来ている服を見て言う。

「あの王様とかの衣装も織っているの」

「いいえ、とても細い戦意を水中に入れて攪拌し、それを網の上に広げてそれに樹脂をまぶして仕上げます」

 ものすごく薄いフェルト、もしくは紙を連想した。

「そういえば、私みたいな人が来た時どうだったの?」

「そうですね、貴女のようにいろんなことをしたという話は聞きませんね、まともな受け答えもせず、ただ王の言うことを絶対に逆らわなかったと」

 ぽろっと私は編み物を取り落とした。

 なんだそれ、もしかして今まで読んできた異世界召喚物やばい奴バージョンなんじゃないの?

 召喚されて命令を聞く以外の一切の行動を行わないって何よ。

 それって操り人形にされちゃうってこと?

 いや、言われてみればこのままだと私はテロリストと戦わされてしまうっているのに何で逃げないの、なんであの王を吹っ飛ばしてしまわないの?

 命令に逆らえないから、できないんだ。

 こんなところで編み物なんかしている場合か。

 自分で自分に突っ込んだ。

 しかし、逃げたくとも体は動かない。

「どうしましたか?」

 アレンドロが怪訝そうに聞いた。


 私は翌日王城から遠い場所に連れ出された。

 そこはかなり広大な平野部だ。地平線が見える。

 そして、別集団が三つ。

 そこに確実に私以外の日本人がいた。

 着ているのが、ジャージとスーツ迷彩服。

 迷彩服以外は普通に街中で見かける格好だ。

 まずはジャージ、レベル、うちのクラスの男子の平均。

 ベリーショートカットの髪型と私の頭半分くらいの長身を見ればそんな感じだがれっきとした女性だった。

 削げた頬と厳しい顔立ち、勝負の世界に生きていますと全身で主張していた。

 多分私と同年齢だけど、生きていた世界がだいぶ違う人だと実感する。

 そして迷彩服。自衛隊員だろうが。あれは確実に陸上自衛隊。

 がっちりとしたゴリマッチョ。航空や海上自衛隊は割合小柄な人が多いというし西郷さんをほうふつとさせるぎょろりとした目。自衛隊の六割を占めるという九州男児かもしれない。

 そして最後、スーツ。

 中肉中背の髪を流した地味なハンサム。いかにも隙のない感じのイケメンといっていい物腰。だが、目がやばすぎる。

 光のないどんよりとした目。

 薄く微笑んでいるけれど、見ているだけでなぜか寒気が。

 国際テロリストという先入観だけじゃないはずだ。

 住む世界が違いすぎる相手だと女の堪が叫んでいる。

「戦う?」

 ここに集められた理由を思い出して思わずつぶやく。

 これがランダムなくじ引きなら、敵国強運過ぎるだろう。

 なんで一番スカが一番少ないわけ。

 自分をスカだと認めるのはつらいけど、間違いなく私が外れ籤だと確信できる。

 神様、一発殴らせてください。



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