ある侍女の独白
その人にあったのは王の謁見室、その場に現れたのは小さな少女だった。
変わった衣装を身にまとい。どこか戸惑った表情を浮かべていた。
腰から下につけている物はたいそう変わった生地だった。おそらく染めた糸を織ることで模様を作っているのだろう。
思わず凝視していたら丸い目と目が合った。
肩までの暗い色の髪をした可愛らしい顔立ちの少女だった。
異界人のことは噂で聞いていたけれど、その少女はまるで違っていた。
そして王は妙に戸惑っていた。
少女の名前が分からないのだ。少女も自分の名前を名乗ろうとするが、音が響かない。
それは最近他国で呼ばれた異界人も同様だという。
少女をあてがわれた部屋に移し、お茶を淹れる。
茶菓子を一口食べてようやく口を開いた。
「まずい」
そのまま調理場に行き、新たな茶菓子を製作し始めた。
魔法で調理しているところを見て随分と戸惑ったようだが、私は少女が調理を始めたことに戸惑った。
そして焼きあがった茶菓子はふわふわとした今までにない食感で、料理人たちも驚いていた。
少女はこちらの話を聞いているうちに呆れたような顔をした。
王族は魔法の力でこの国に君臨する。
王城に仕えるのは魔法を使える王族以外のもの、そして王城の外には魔法を使えない人たちが住んでいる。
少女は自分にも魔法が使えると聞いて興味を持ったらしい。
結果、王宮の守護木が消滅した。
王城建設からあった巨木は跡形もなく消滅してしまった。
そして、その有様をだれよりも驚いていたのは少女本人だった。
異界人の魔力、それだけは噂通りだった。




