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詳しく話してもらいたくなかった。

 私の魔法とやらは破壊力が規格外だった。

 最初の一撃でビビッてそれ以上実験する気も失せた。

 ちょっとした巨木が消滅ってやばすぎるでしょう。自分としてはマッチに火をつける程度しか力を込めたつもりはなかった。それであれなら、焚火は永遠に無理だと悟るしかなかった。

 これどんな使い道があるっていうの。

 台所に入り浸っている。だってやることないし暇だし、まずいご飯食べるくらいなら自分で作ったほうがましだし。

 プリンをコックさんに加熱してもらいながら、私が過熱すると、金属が蒸発する。力の使い道を模索する。

 しかし使い道はたった一つしかなかった。

 大量破壊兵器。

 それを使って戦えって、結局ジェノサイドしろってことになんない?

 日本ではね、強盗に入って生きたままの人にガソリンかけて焼き殺したやつとか、幼女連続殺人鬼とかを処刑するにしても処刑スイッチにダミーがあってもしかしたら殺してないかもなんて刑務官さんに錯覚させるような施設があるんだよ。

 殺人って重いんだよ。

 心優しい女子高生が大量殺人なんかしたら、発狂しちゃうんじゃないの。

 お湯を入れた器にプリンを流し込んだ容器を入れてその上から竈もどきをかぶせて過熱。

 魔法が使えるならその程度でよかったんですよ私。

 人型最終兵器とか冗談じゃないんだけど。

 なんでもこの世界、道具を使わず魔法を使うのが何だかステイタスみたいなことになっているらしい。

 かまいたちで布を切る仕立て屋さんとか。

 道理でざっくりとした作りだと思った。

 いや、きれいなひだを寄せてあったけど、それって綺麗に切れないからやむを得ずだったんじゃ。

 道具を使うのは下等とかいう考えもあるらしいが、どう考えてもはさみで布を切ったほうがきれいになると思う。

 それに普通に火を燃やしたほうが、料理人の皆さんの体力的にもいいと思うのだ。

 出来上がった熱々プリンを調理場の皆さんで食べていると侍女さんが私を呼びに来た。

「あのね、私の名前は……」

 私が名乗ろうとすると、なぜか途中で名前のところだけ聞こえなくなった。

「あちらから来た方はみんなそうなのだそうです、名前を名乗ることも呼ぶこともできない」

 なんでと聞きたいが、そういうものなのだからどうしようもないと言われた。

「ですが属性は読み取れます、貴女は女学生という属性が見出されました」

 そのまんまやと突っ込みたかったが、侍女さんはそれが何かわかっていないようだ。

 そういえばなんで私言葉が通じてるわけ?お約束の自動翻訳されてる?。

 侍女さんの名前を聞いてみたらアレンドロという名前を名乗られた。いい名前なのかは不明。

 それなら異世界転移物のテンプレ、イケメンじゃなかったらストーカーとして抹殺したくなるほど私を愛してくれる王子様はどうなったの?

「陛下が、お呼びです」

 言われて調理場から出て、あのギリシャの神殿のような場所に言った。


 王様は私の役目とやらをお話ししてくださるようだ。

 だだっ広い大広間に王様は座り、私は立っている。

 この待遇がちょっと不満だ。

 仮にも人を呼び出しておいて椅子も進めないなんて何事。

 そんな現実逃避をしている場合じゃない。

 私には大量虐殺をしたいなんて願望はない。

 普通の暮らしでいいんです。

「それでは、貴女のすることだが、隣国トーワの来訪者を倒していただきたい。来訪者さえ倒せばあとは我々の戦いだ」

 つまり、核兵器と核兵器を打ち合わせ、その間に人間同士を戦いになるということかな、しかし、あっちもいきなり連れてこられて、見ず知らずの人間と戦えと言われてはいそうしますと言えるもの?

 四十代半ばに見える王様はこの状況に何の疑問も持っていないようだ。

 勇者として呼び出されて、いきなり見ず知らずの人のために魔王と戦えって言われて従うのもなんだけど。

「あちらの来訪者は、こう呼ばれている、国体アスリートと」

「は?」

「もう一つの国ワダンの国は自衛隊員、今一つの国リハトは国際テロリストそれらを打倒し、わが国を救ってほしい」

 無理です。そう言いたかったがなぜか私の口は開かなかった。


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