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第二章

 先生の言葉に皆すぐ従い席に着く、その間に先生は黒板に何か書いている。

あれは名前かな……?


 平平 平平……

ひらひら ひらひら……?

分からん。



 「これ読める奴いるかー?」



 先生は皆を見渡すが、誰も答えられなかった。



 「平平(ひらたいら) 平平(へいべい)。これが俺の名前だ」



 その一言でクラスは笑いに包まれた。

もちろん私も吹いてしまった。



 「おいおい。人の名前を笑うなんて失礼じゃないか?」



 そういいながらも先生も笑っている。

本名なのか?



 「先生に対して質問はあるか?」



 皆戸惑ってはいたが口々に質問をした。

先生が回答に遅れるほどに。



 「え~~、たくさんあるから一気に言うぞ。俺がいつも咥えてんのは飴だ。血糖値はぎりぎり水準。甘い物好きです。独身。専任は国語だ」



 まとめたーーーーー!さすが国語の教師!!








 「緒川君!!」



 私の声に緒川君はふりかえってくれた。

近くで見ると案外しっかりしたガタイしてるなぁ。

 


 「ああ、確か同じクラスのテンパリ少女……」


 「お願い、そこはもう忘れて!!」



 う~~~~~、人の傷口を……



 「ごめんごめん。確か花井 恵でよかったよな」


 「うん」


 「で、何か用?テンパリ少女」


 「お願い!名前で呼んで!!」


 「ははははははははは。悪い悪い。お前かわいい奴だな。仲良くなれそうだ」


 「そそそそそそ、そんな、かわいいだなんて(男の子に言われたの初めて)」


 「俺に何か用があったんだろ?」


 「あ、そうだった。緒川君にはなんで影があるの?」


 「ああ、それか……」



 ちょっと表情をにごらせた。あまりいい思い出じゃないのかな?



 「あ、言いにくかったらいいよ」


 「いや、なんていうか、さ。ドッペルゲンガーって初めて出てくるときに一回相対するだろ?アレを狙ったんだ」


 「え?」


 「その出てきた影を思いっきり殴ってさ。その後色々とあったけど1時間ほど粘ったんだ。そしたら最後に質問されて、それに答えたらこのとうり元どうりになったんだ」


 「えーーーーーーーーー!?」


 「うぉ!?どうした?」


 「ちょっとタイム……今コンガラガッチュレーション中だから」


 「コングラッチュレーション(CONGRATULATION)な。祝賀とかそんなん」



 え?なに?影って戻ってくるんだ……

ていうか出てきた瞬間殴り飛ばしたってそんな裏技あったの!?

 じゃあもう緒川君命の心配ないじゃん。

ナニそれ!?そんなんアリなの!?



 「なぁ、花井……」


 「あ、私のことはメグでいいよ」


 「ああ、メグ。何をそんなに悩んでるのか知らないけどさ。難しく考えるなって。うまくは言えないけどこんなの早いか遅いかだけだ。どっしり構えてタイミングを待てって」


 「う、うん。ありがとう」


 「用はこれだけか?じゃあ俺はもういくぜ。早いうちに話せる奴が出来てよかった」


 「え?」


 「じゃあまた明日な。テンパリ・メグ」


 「それ名前じゃないから!!」



 緒川君は笑いながら帰っていった。

いい人なんだけどちょっとわたしの事いじりすぎ!



 わたしはその日の事を両親に話した。そしてまだ希望は捨てなくていいのだと説明したところで2人ともとても喜んだ。

 私は緒川君に感謝した。

いい人にめぐり合えたと。














 それから一ヶ月。ただ楽しいだけの時間が過ぎていった。

クラスの皆とてもいい人ばかりだったので、私は女子だけじゃなく男子にも仲のいい友達がたくさんいた。もちろん緒川君とも仲良くなれた。よくいじられるけど。

 でもまだ話したことのない人もいた。

斉藤 番 君。や御魂 由良 さんとか……

 あの2人は仲がいいのかよく一緒にいるのをよく見かける。

由良さんはこの一ヶ月の間に来た転校生でなんというかきれいな人で、

 斉藤君はなんというかまだわかんない。不良グループの頂点に立ってるなんて聞いたけど。別に怒鳴ったりしないし授業はちゃんとしてるし、結論から言うと悪い人ではなさそうです。たまに2人ともいなくなるけど……



 今から体育の授業。男子と女子で別れてドッヂボールです。

ドッペルゲンガーと戦えるように鍛えていた私の得意分野「体育」。


 対戦相手は高1女王の佐久間 瑠衣さん率いるAチーム



 「私に敗北の二文字はありませんわ。Bチームなどパパっと片付けて差し上げます」


 「佐久間さんやる気満々だね。じゃあ私も全力でいくよ」


 「ふん。ゴーグル女などに引けはとりませんよ?」


 「お願い!普通に名前で呼んで!」


 「私が認めるだけの実力を持っていたらね!!」



   この後佐久間さんと15回くらい本気のキャッチボールが続きました。



 キーンコーンカーンコーン……



 「おっと、もう終わりか。皆もう行けよー!帰りのホームルーム遅れるぞ」


 「はーい」



 先生の言葉に皆満足した顔で帰っていく。

楽しかった……でも佐久間さん強すぎ。もうへとへとだ。



 「ゴーグル女」



 地面にへたり込んだ私に、汗だくの佐久間さんが声をかけてきた。汗ばんだ体操服……ちょっとエロい



 「どこ見てますの?」


 「いやどこも。なに?」


 「今回は引き分けですけど次は決着をつけますわよ」


 「うん。今日は楽しかったよ」


 「ふん」



 それだけ言って去ってしまった。ツンデレですな……

皆もう行っちゃった。私も行こう…



 ザッ



 そう思った私の背後で不意に足音がした。

誰だろう……他に人いたかな?

 私は振り返って見て息をのんだ。



 「え……?」



 それ以上言葉が出なかった。忘れたわけではなかったのに、あまりにも不意をつかれた。

初めて感じる自分に対しての殺気。

 私は自分のドッペルゲンガーをその場でへたり込んで見上げるしかなかった。



 「どうしたの?逃げないの?」



 言葉が出ない……体もうまく動かせない……



 「いいんだね?殺しても」



 そういって右手にハサミを握り締めるもう一人の私。

近づき私の胸ぐらをつかみ上げ、右手を大きく振り上げた。

 怖い、怖い。

殺される!!!!!!



 「詰まんないの♪」



 ハサミが私目掛けて振り下ろされた。

あ、私、死んだ……

 目の前が白くなりそう…














 「メグ!!!!!!!!」














 緒川君の声がした瞬間ハサミは私の目の前を通り過ぎた。

ハサミは空振りしたのだ。

 緒川君が私のドッペルゲンガーの顔面を殴り飛ばしたのだ。

私は目の前の恐怖に震えて気がつかなかったが、緒川君は私の異変に気づいて走って来てくれていたのだ。



 「大丈夫か!?」


 「あ、あ、緒川君……」



 私のドッペルゲンガーは先ほどの一撃でもう闇に溶けていた。



 「ありがとう、緒川君。私、わたし……」


 「今のはひやひやした。怪我ないか?」


 「怖かったよーーーーーーーー!!!!」 



 本当に怖かった。もう死んだと思った。

私は緒川君に抱きついたまま泣いた。



 「大丈夫だ。もう大丈夫だから。な?」



 緒川君がなだめてくれている中私は静かに気を失った---

さっきまでの緊張の糸が切れて、安心と恐怖で意識が保てなかった。

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