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婚約破棄された令嬢が市民体育館や釣り堀や公園にいる教え魔コーチと出会った話

作者: 山田 勝
掲載日:2026/08/16

「婚約破棄だリーザ!俺は従姉妹のミミリーと婚約をするぜ!」



 グスン、あんなに尽くしたのに、婚約破棄をされましたわ。

 しょんぼり公園を歩いて・・・


「やってられませんわ!」


 思わず扇を木に打ち付けましたわ。


 あら、やだ。私ったらはしたない。扇も壊れてしまいましたわ。


「木さん。ごめんなさいですわ」


 すると。ゲスな笑い声が聞こえましたの。




「グヘへへへへへへ!お嬢ちゃん。良いセンスしているね」

「扇子?」


 小太りの中年。眼帯をはめて髪の毛は黒、肌は濃い。少数民族かしらね。


「だけど、訓練してない。フックはこうでなければ、脇を締めて素早く。こう、こう」



 シュ!シュ!と音がしますわ。


「えっ・・・・」


「リピート!リピート!アフターミー!」

「は、はい!」


 小時間フックを習ったわ。

 何かすっきりしたので、翌日も公園に向かう。


「ヘイ、マイガール!デンデン太鼓!デンデン太鼓!連打はデンデン太鼓ね!」

「は、はい!」


「ミット打だ!」

「はい、はい!」


「よお~し。グッドガール!ランニングをしよう」

「はい、ですわ」


 街中を走る。おじ様は鉄の馬のような物に乗っていますわ。


「はあ、はあ、はあ」

「シャドー!シャドー!はい」


 街中の人は、面白げに見たりするわ。


「クス。婚約破棄された子爵令嬢のリーザ様じゃない?」

「キャア、恥ずかしくて頭がおかしくなったのね」


「ヘイ!そこの馬面女と髪型モンブラン、マイガールを馬鹿にするなよ!」


「ヒィ、何ですって!」

「これは、最新の髪型ですわ!」


「これでも喰らえ!」


 ブゥウウウウウーーーーー!


「「キャア!」」

「く、臭い・・・」


「お前らの心はニンニクの屁くらい臭いんだよ!」


 おじ様は下品なりに私の事を想って下さるのね。

 そんなことを毎日続けましたわ。



 お父さまも心配してくれるわ。夕食の時に婚約破棄の話合いの進捗状況を教えてくれたわ。


「リーザ、ダミアン君の家に話合いに行くのだが・・・一緒に来てくれないか?」

「分かりましたわ」

「まあ、リーザ、お肉は?」

「今、ベスト体重にしておりますの」


「ワーイ、姉上頂戴!」

「こら、カールはしたないわ」


「ゴホン、こちらは子爵家だ。出向けと言われたのだ。すまない」

「ええ、全然良いですわ」



 それから2月が流れましたわ。


「はあ、はあ、はあ」

「マイガールよくやったね」

「はい、有難うございます」


「あ、おじ様!」


 するとスゥーと消えたわ。あれは何だったのかしら。もしかして、精霊?


 あら、今日はダミアン様の家での話合いの日だわ。


「走って行こうかしら」


 街中を走ると、歓声があがるわ。



「お嬢様、負けるな!」

「はい、オレンジ」

「有難うございますわ」

「お嬢様の走りを見なきゃ始まらないな」


「「「「ワー、ワー、ワー」」」


 子供達が追いかけて来る。


「フフフフフフフ」


 私は両手をあげて後ろ走りで子供達の歓声に応えたわ。


「お姉ちゃん頑張れ!」

「やれー!お姉ちゃんなら出来る!」


「有難うございますわ」



 ダミアン様の屋敷に着いたわ。


「リーザ、どこに行っていた。今何をしている。高速で左右に動いているが・・」

「お父さま、ごめんなさい。フットワーク!」


 シュン、シュンと地面を蹴る。

「・・・一体どうしたのだ?」



 すると、ダミアン様とミミリー様がロビーにいた。前にメイドと従者がいるわね。



「おい、リーザ、遅いぞ!」


 ダミアンの声で頭の中にカーンと響いたわ。


 シュン!シュン!


 フットワークで使用人達の間をすり抜け。


「ヒィ、何だ!」

「キャア」


 ボディージャブ、ジャブ、ストレート、フック。


「お、ウゴ、ハガ・・や、やめ・・ろ」


「いいえ、やめませんわ。私だって好きで婚約をしたわけではございませんの。

 ダミアン様、好きではなかったですわ。でも、歩み寄ろうとしましたわ。でも貴方は歩み寄りをしなかった。いつも従姉妹と遊んで・・・」


「ウゴ、話ながら・・・殴るな」


「いいえ。やめませんわ。ダミアン様が笑われたら私は庇ったのよ。

 ダミアン様が失敗しないように一生懸命に生徒会の準備やパーティーの準備もしましたのに・・」


「ハガ、ウゴ・・・」


 それから、私は思いっきりしゃがんで・・・



「スーパーウルトラアッパー!ですわ」


 アッパーをしましたわ。下から顎を打つ技ですわ。


 ダミアン様は海老反りになって床に落ちましたわ。


「はあ、はあ、はあ、はあ」


「ヒィ、・・・」

 ミミリー様は気絶しましたわ。


「あら、本当に気絶しておりますか?試してみますわ。その壺をぶつけて・・」


「キャアアアーーーー、ごめんなさい!」


 走って行きましたわ。


 一ランド1分34秒KO勝ちですわね。


「フン!」


「フンじゃーねえよ」

「良くも坊ちゃんを!」


「あら、やりまして」


 と使用人達にすごんだら。


 パチパチと拍手が起きましたわ。



「やあ、素晴らしい技術だ。これは?」

「拳闘ですわ」

「ほお、詳しく聞きたいな」


 あれは生徒会の王子殿下だわ。

「学生として話合いの場所に来たのだよ。婚約破棄の現場は学園だからね。掌握しておきたいと思ったのだ」



「殿下!リーザ嬢は暴力を働きましたぞ」


「ほお、伯爵令息が、子爵令嬢に負けたと?」

「う、うぐ・・・」



 ダミアン様のお父様は黙りましたわ。

 結局、このボクシングは幻に終わりましたわ。


 私は。


「ダミアン君の代わりに生徒会に入ってくれ。いつも、君が資料をまとめていたのは知っていたよ」


 殿下から懇願されましたわ。


「は、はい」


「エスコートしても?」

「はい、キャ」


 今はとても幸せですの。


 あの公園の不思議な木は謎ですわ。魔道師が調査をすると言っているわね。









 ☆☆☆



「畜生、リーザめ。俺もあの木に行くぞ・・・」


 俺はダミアン、女に負けたと噂をされている。

 だから、公園の木を片っ端らに蹴る。

 黒髪の精霊を呼び出すのだ。


 やっと、黒髪が出てきた。頭はパチパチと、金髪だが根元が黒髪で長髪の奴だ。


「おい、精霊よ。我に何かを授けよ」


「おい、何を黙っている!」


「兄ちゃん。うちの看板に何、蹴りをくれているのさ」

「はあ?看板?」


「ちょっと事務所に行こうか。おい、源氏、こいつホストに沈めようか?」

「チース、顔はイイッスね」


「えっ・・・ちょっとどこに連れて行く!おい!待て!誰か助けてぇ~!」




 ・・・・・・・・・・・・・・・



 ダミアン様は行方不明になったわ。

 学園生徒会としてもやることはあるわ。



「リーザ、宮廷魔道師の調査だと、公園は異世界につながっているそうだ」

「殿下、もしかして、私は・・・」

「ああ、良い精霊と悪い精霊がいる。君は良い精霊に出会ったのだ。王宮としても公園を封鎖するか迷っている」


「まあ、そうですの」


「会長、ダミアン様が見つかりました」

「何?」



 すっかり顔つきと性格が変わっている。変なスーツを着て髪を伸しているわ。



「チース、チース、チース」


 と変な挨拶を連発し。


 飲み物を飲むときは。


「ジャンジャンジャンバリバリ!」


 変なかけ声を連発するわ。



 マダムを見かけるとかけより。



「チース、素敵なお嬢様、お名刺をどーぞ」

「ヒィ、何?私は伯爵夫人ですわ。歳が・・・」


「素敵な恋に歳なんて関係ないさ・・・」


「馬鹿者、妻を口説くな!」


 修羅場になっているらしい・・・



 私は空を見上げる。大空一杯に眼帯をつけた岩石のようなおじ様の顔が浮かんだわ。


『コーチ、私、もう、迷いませんわ』


 心の中でつぶやいたわ。


最後までお読み頂き有難うございました。

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― 新着の感想 ―
ドヤ街のオジサンデスネ オニイサンは歌舞伎町? めちゃくちゃ笑いましたwww
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