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無口な賢者を助けたら惚れられた! にっ!

 北の魔王討伐のために俺たちは、シェリアマールの運転する車に乗り込んだ。


「……車でいくんですね」

 シェリアマールは、こくりと小さく頷く。


「排気ガスを垂れ流すなんてあんたも悪だねえ!」

 嬉々としてワルコが言い放つ。

「環境破壊は楽しいぞーー」

 ガバッ。

 どこかで聞いたことのあるような危険なセリフを遮るように、俺とテンコが同時にワルコの口を塞いだ。

「むぐぐ……」

「危なかったです!」

「だな」


 北の魔王領へと踏み込んだ瞬間、空気が一変する。

ーー圧がすごい。


「俺はここまでや!もう進めへん」

 車が喋った。喋れたんだ。しかも関西弁。


 仕方なく、俺たちは車から降り、徒歩で魔王城を目指すことになる。


「ちょっと……待って……くれ……」

 ノエルが青ざめた顔で立ち止まる。

 その瞬間。オロロロロ。吐いた。


「だらしないねー」

ワルコが呆れたように言う。


「大丈夫ですか!?」

「大丈夫か!?」


 慌てて俺とテンコとシェリアマールが、ものすごい速さでノエルの背中をさする。

 さらに水魔法で大量に飲料水を作り出して、飲ませてあげる。


 ……この旅、不安である。果たして魔王を倒せるのだろうか。


 道中、俺たちはかなりの苦戦を強いられた。なにしろ、旅なんてしたことがない。

 古代のドラゴンに、暴走するゴーレム、キマイラやホムンクルス、さらにはこっちはあんまり喋りたくないのにやたら話しかけてくる美容師など、様々な敵が立ちはだかった。


 だが、それを乗り越えた結果、俺たちのレベルは2から80まで跳ね上がっていた。

 そして、ノエルは棺桶になっていた。


「って、レベルってなんだよ!!ノエル死んでるし!」


 俺は右上に表示されたレベル80と書かれた枠を、思いきり弾き飛ばした。

 そして、棺桶の中でスヤスヤと眠っている美しいノエルを叩き起こした。


「……」

 シェリアマールは俺の手を取り、また指で文字を書く。


 (ツッコミありがとう。えらいね)


 ……かわええ、天使か。


「天使はわたしですよ!」

 何故か心の声も筒抜けである。


 そして、視線の先にはーー

 魔王城。

 ……ついにここまできたな。

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