クノイチを助けたら惚れられた! いちっ!
前回、シェリアマールを助け惚れられた月杉アタル。しかし、シェリアマールは遠方からきた魔王討伐隊だったため、一度自らの家へ戻っていった。
いつか、南出藻蟻市に引っ越す。と約束して。それ以来、アタルの元に毎日、シェリアマールからの無言電話がかかってくる。
「あー、暇ですねぇ……」
テンコが俺にくっつきながら、だらけた声を出す。
ワルコとノエルは二人で買い物に行ったきり戻ってこない。
ガチャ、ドタドタドタッ!
慌ただしく家のドアが開き、二人が駆け込んできた。
「アタル!大変だ!」
ワルコがそう叫んだ瞬間、アタルたちの頭上に雲のような枠が浮かび上がり、二人の回想シーンが再生され始めた。
まず、二人はご飯のための食材の買い出しに向かったらしい。
何故か最初に、"美味いdeath軒"で惣菜を買ったようだ。食材じゃなくて、完成してるけどね。
その後街を歩きブラブラしているとーー
ドンッ!
ノエルが誰かとぶつかった。
「ワルコ!まずい、さっきぶつかったものはスリだったようだ!ぶつかった際にEXカリバーと装着していた銀の鎧一式が盗まれてしまった!!」
なんでそんな一瞬で、身ぐるみまで剥がされて全て盗まれてるんだよ!
「というわけなんだ」
回想がおわる。
「くっ、騎士の恥だ!やつはかなり素早く、我が50m12秒の瞬足を持ってしても追いつけなかった」
いつも騎士の恥しかかいてないけどね。足遅いね、かわいいね。
「でも、どうやって犯人を見つけましょう?」
「何か犯人の特徴とかは覚えてないか?」
俺の言葉に対して、ワルコとノエルは思い出そうと腕を組み目が斜め上を向く。
「特徴かぁ、そんな特徴らしい特徴はなかったぜ。あ、でもなんか、目が血走ってて、服にナンバープレートがついてたぜ!番号もしっかり写してる。それくらいしかないな」
「めちゃくちゃ特徴あるじゃねえか!」
しかも写真まで撮っているとはさすがワルコだぜ。
だが、どこへ逃げたかの目星がつかない。
「そういえば……」
ノエルがぽつりと言う。
「EXカリバーをよくなくすから、スマホで見つけられるようにアプリと連携してたな」
あ、最近の剣ってえらくハイテクなんだな。
アタルたちは、EXカリバーのGPSを頼りに移動する。
「私の連携しているアプリによると……この辺りだ!」
目の前には、大きな屋敷がそびえたつ。警備員も大勢うろついている。
「な、こんなでかい屋敷に!? ここの住人が盗んだのか?」
思わず驚いてしまう。
そのとき、屋敷から血走った目をして、服にナンバープレートを装備した男が出てきた。
「あ、あのときの男だ! 捕まえて虐めてやる!」
ワルコが勢いよく前に出る。
だが、男はワルコに気付き逃走を図る。
「やばい、逃げられる!」
その時、道端にベトベトの床が突如あらわれ、男の足が取られる。
「床がベトベトだ! なんだこれは!」
「忍法、Gホイホイの術」
そう言って現れたのはクノイチだった。貧乳でマスクをしているが、そこから見える瞳は大きく印象的だ。そして忍者服の網目の主張が激しい。
「困ってそうだったから、助けた!」
彼女はそういいながら、どうやら自身も術に引っかかったらしく、必死に脚をベトベトの床から引き剥がそうとしている。
みんなで引っ張ると、なんとかクノイチは術から抜け出せた。
その後、目血走り男に質問をする。
ーーどうやら、男は屋敷の主に雇われ、高名な剣EXカリバーを持ってくれば高額な報酬を払うとと言われ盗みを働いたらしい。
銀の鎧はついでに盗んだとのこと。
「ちなみにEXカリバーはいくらで売れたのだ!」
ノエルが問い詰める。
「二千万だ」
ノエルが目を見開く。
「二千万だと!? 二百円のガチャガチャから出てきたのに」
ガチャガチャにそんな危険なものを入れるな。
クノイチは言う。
「取り返すんだろ? 私も手伝うぞ。クノイチとして、難しいミッションほど腕がなるのさ」
現役のクノイチ、これほど頼もしい味方はない。自分の術にかかってたけど。
「よろしくお願いします! お名前は、なんて言うんですか?」
「私はクノイチのおなつってんだ! よろしくな!」
おなつは手を差し出す。握り返すととても柔らかい。
「ちょ!長いってば!」
顔を赤くして手を引っ込める。慌ててアタルは謝った。
「はやく、盗みに行こうぜ!悪いことっ!悪いことっ!」
ワルコがワクワクしているので、ミッションを決行。
……の前に作戦会議だ。
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