新話~世界に限界はねぇんだぜ~
※他者視点です。
「「【【【くっろきし!くっろきし!】】】」」
『ご覧ください!観客席で多くのファン達が、ブラックナイトを求めて声高らかに彼の名を叫んでます!本人がまだ到着していないって言うのに、みんな先走り過ぎですねぇ!』
『まぁまぁ、キャリー。そう言いなさんなって。あたしだって、数年ぶりに生のブラックナイトを拝めるって言うんで、1週間前から興奮しっぱなしだよ』
『ちょっとちょっと。止めてくださいよ、クリス。この番組は良い子のお嬢ちゃんお坊ちゃんも見てるんだから、貴女の性癖はナイトラジオで垂れ流してくださいな。それより、日本のサムライ達を視聴者達に紹介しちゃってくださいよ』
『良いぜ、キャリー。先ずはU22のキャプテン、伏見早紀選手のプロフィールから…』
モニターの向こうで、外人さん達が楽しそうに話している。
俺は英語が苦手なんだけど、テレビの中の会話であれば、テレパスが彼女達の意思を伝えてくれるから何とか理解できる。
そう、テレビの中ならね。
【#&$%=+?+*】
【&$#)”’#=!=】
後ろを向くと、何やら興奮気味で喋りまくる外国のお姉さんたちが行きかう。
それを見て、俺は被っていた帽子を更に深くかぶり直し、足早にその場から移動する。ポケットからスマホを取り出すと、試合開始まであまり時間が無い事を示していた。
ああ、くそっ!何処に行っちゃったんだよ、俺のチケット。
俺は何かに当たりたい気持ちになり、足元の小石を蹴っ飛ばす。
バスの中では確かに、リュックのポケットに入っているのを確認したんだ。なのに、今は空っぽだ…。
あれかな。ここに入場した時に、変なアンケートをしてくる人達がいたけど、もしかしてあの時に掏られたのかな?
インフォメーションセンターに行ってみたけど、チケットの落とし物なんかある訳ないって、あのお姉さんも全力否定してたもんな。
そもそも、落とし物なんてゴミしか持ってこられないのがこの国だ。日本みたいに、財布をそのまま届けてくれたりしないんだ。
くっそぉ…。俺の前世の記憶に、海外旅行の情報が無かったのが痛い。きっとこの記憶を持ってた奴、俺とあんまり変わらない歳で死んだんだ。
俺は会場へと急いでいた足を止める。
兎に角、WTCの入場口に戻ろう。さっきのアンケート詐欺師達を見つけて、とっちめてやるんだ。
相手は女性の2人組だったけど…大丈夫。俺の声は良く通るから、周囲の人が助けてくれる。アメリカはまだ特区男性の割合が低いから、きっと女性客の多くは俺の味方になってくれる筈だ。
思い立ったら、足が動いていた。
時間が無いと、周りが見えなくなっていた。
だから、走り出して直ぐに、誰かにぶつかってしまった。
「いっ…ててぇ…」
「おっと、済まんな少年。立てるか?」
地面に倒れた俺に、ぶつけられた人は平然と謝ってきて、こちらに手を差し出してきた。
日本語。しかも、男性の声だ。
「ごめんなさい!あの、僕、急いでて。それで、あの…」
俺は慌てて立ち上がって、謝ろうとしたけれどうまく口が回らなかった。
そんな情けない俺に、男性は「それは大変だな」と優しく受け答えてくれた。
「仲間とはぐれたのかい?良ければ、送っていくけど?」
「あっ、えっと、はぐれたと言うか、チケットを無くしちゃって…」
俺はスタジアムを見上げながらそう答えた。
本当だったら今頃、この中でポップコーンやフランクフルトを買って、みんなと一緒に叫んでいたはずなんだ。
その姿を想像すると、涙腺が緩んできた。慌てて下を向いて、袖でゴシゴシと顔を拭く。
「なるほどな。無くした場所は心当たりがないのか?」
「えっと…その、掏られたかもしれないんです。だから、探しても無駄だと思ってて…」
「ほぉ。掏られた、ねぇ」
男性の声が、急に低くなった。
俺は驚いて、パッと顔を上げた。でも、男性はサングラスと帽子を被っているから、表情は分からない。
もしかしたら、俺の聞き間違いかも知れない。次に語り掛けてきた男性の声は、優しいものに戻っていたから。
「ならば少年。俺について来ると良い。中に入れてあげるよ」
「えっ!?お兄さん、大会のスタッフなんですか?」
「スタッフではないが…関係者だ。さぁ、どうする?」
お兄さんが再び手を出してくるから、俺は迷わずその手を取った。
そのままお兄さんに連れられて、俺はスタジアムの中に入っていく。お兄さんは関係者専用の通路を通っていくけど、スタッフの誰も咎めたりしなかった。大会関係者と言うのは本当みたい。
それどころか、強そうなパワードスーツを着た警備員の女性は、お兄さんに対してビシッと敬礼している。
関係者というか、もしかしてかなり偉い人なのでは…?
「どうかしたかい?」
俺が警備員達を見ていると、お兄さんが不思議そうに話しかけてきた。
「えっと、あの強そうなパワードスーツの警備員…」
「ああ、あのパワードスーツのことかな?なかなかお目が高いね。あれは日本が誇るグレイトシリーズの最新式、グレイト00だ」
「グレイトシリーズ…」
聞いたことは勿論ある。だって、日本に住んでいればCMとかでもバンバンやっているし、高校生の大会とかでも使われているのを何度か見ている。
でもそれが、アメリカでも使われているなんて。
俺は振り返って、警備員の姿を探した。
なんだか、日本人であることが誇らしく思えて、もう一度見たくなったんだ。
警備員の姿は直ぐに見つかって、彼女が誰かに話しかけているのが目に入った。パワードスーツを着た、小さなおばあちゃんだ。ヨボヨボのおばあちゃんまでパワードスーツを着ているなんて…凄い国だな、アメリカは。
「あれは介護用のパワードスーツだよ」
「介護用?」
「ああ、そうだ」
俺が目を丸くして見ていると、お兄さんが指を差して解説してくれた。
なんでも、あれはアメリカの大手兵器メーカーであるDP社が作った製品で、体が不自由な人でも歩けるようにと開発された物らしい。
「昔は色々とあったDP社だが、最近は医療分野に力を入れている。そのお陰か、低迷していた業績が少しずつ上がっているらしいよ」
そう語るお兄さんは、なんだか複雑そうな顔をしている。
DP社と何かあったのかな?
「あっ!ここに居たのか!」
じっくりパワードスーツを見ていると、通路の先からそんな声が聞こえた。
振り返ると、長く青い髪を左右に靡かせて駆けてくる、キレイなお姉さんの姿があった。
「蒼波さん。こちらにいらしていたんですね」
お姉さんに対して、お兄さんは親し気に話しかける。
それに対し、アオバと呼ばれたお姉さんは、ちょっと怖い顔で頬を膨らませた。
「何を呑気に…。良いかい?君の影響で、今や私達のスクールは世界各国に支店を持つようになってしまったんだ。社長の私は、毎日各国をテレポートしなきゃならなくなっている。明後日にはカナダ。その次はロシアだ」
「お疲れ様です。蒼波社長」
お兄さんが労いの言葉を伝えると、お姉さんは怒った表情を崩し、深い溜息を吐いた。そして、口元だけ笑みを浮かべる。
「今日で大会は終わりだろ?そしたら、明日のニューヨーク出張には君も付き合って貰うからな?」
「あっ、蒼波さん…それは、ちょっと…」
「問答無用!社長命令だからな!」
困った声を絞り出すお兄さんに、蒼波さんはスパンッと言い渡し、何処かに走り去ってしまった。
お兄さんはどうやら、社長さんに無茶ぶりをされたらしい。
彼が困ったように頭を掻いていると、また別の人物が近づいてきた。
小さな男の子だ。
「おじちゃ~~~ん!!」
「おおっ!暁人君!大きくなったなぁ」
お兄さんは嬉しそうに微笑んで、飛び込んで来た男の子を抱き上げた。
「お母さんはどうした?みんなで来たのか?」
「おかーさんは、あっち!」
男の子が指さす方を見ると、息を切らして走って来る女性の姿が見えた。
「こ、こら、暁人、勝手に、走らない、の」
「おかーさん、おそーい!」
暁人君にケラケラ笑われながら、お母さんはお兄さんの前で息を整える。
そして、少し赤い顔を上げる。
「済みません、坊ちゃま。暁人が急に走り出して」
「いえいえ。久しぶりにお会い出来て嬉しいですよ、柳さん。暁人君、今は幾つになったんです?」
「5才だよ!」
お母さんに向けた質問に、暁人君が手を上げて元気に答える。
微笑ましい。
「あのねー、おじちゃん。僕ね、お手て変えられるようになったの。見てて!」
暁人君が得意げに右手を出して、それを石の様な丸い物体に変化させた。
それを見て、お兄さんはより喜ぶ。
「凄いな、暁人君。その年で異能力を使いこなすとは。お父さんの才能をしっかりと受け継いでいるな」
「うん!おとーさん、今はお仕事なんだけど、夜には会えるんだ。みんなでハンバーグ食べるの!」
「そうか。いっぱい食べて、大きくなるんだぞ」
「うん!僕ね、いっぱい食べて、おじちゃんみたいに強くなるんだ!おかーさんがそうしなさいって」
お兄さんが暁人君を下ろすと、親子は一礼して、観客席の方へと歩いて行った。
一般客の様にも見えるけど、この通路を使えるって事はやっぱり関係者なんだよね?お兄さんの関係者だから通されているのかな?
そうすると、やっぱりこの人…。
まだ親子の背中を見送っているお兄さんを見て、俺は冷や汗を流す。
そうしていると、再び誰かが近づいてくる。
ヘルメットやパワードスーツを着た厳つい女性達。ちょっと雰囲気がヤバめだ。
もしかして、部外者の俺を捕まえに来たのかと、ここに来て心臓がバクバク言い始めた。
そんな俺に、先頭に立つ美しい女性がチラリと一瞥してきて、お兄さんを見上げた。
「この子は何方です?まさか、貴方の隠し子とか?」
「冗談がキツイですよ、広幡様。彼は俺のエスコートキッズですよ。なぁ?」
「えっ、あっ、はい」
つい反射で頷いてしまったけれど、エスコートキッズってなんだ?
俺がお兄さんに確認しようとしたけれど、その前にお姉さんが頷いた。
「そうでしたか。では、我々が貴方達を護衛致します。また、”迷子”になられたら困りますので」
「ははっ。よろしくお願いします」
お兄さんは乾いた笑いを漏らすけど、迷子だったのかな?でも、ここまで真っ直ぐ来ていたし、散歩していただけじゃないのかな?
俺はお姉さん達に囲まれながら、関係者通路を進んでいく。護衛の皆さん達が来ているのも、グレイトシリーズの様に見える。でも、その背中や肩に書かれているのは〈TSUKUBA〉じゃなくて〈NF〉という文字だ。
学校のグレイトシリーズに、そんなロゴは無かったと思うけど?
「そのロゴが気になるのかい?」
「えっ、あっ、はい」
俺がジッと見ていると、またお兄さんが気付いてくれた。
「そいつは、この大会のスポンサーであるNF財団のロゴだ。NF財団ってのは、聞いたことないかい?」
「あっ、それなら知っています。確か、世界平和とか、テロとかで苦しんでいる人達に援助をしている財団ですよね?」
CMとかでも見たことがあるし、日本が大震災に見舞われた時も、復興支援で来ているってニュースを観た覚えがある。
「ああ、そうだ。雷門様とギデオン議員が立ち上げた財団で、こういう異能力関連の事業にも支援をくれるんだ。お2人の事は知っているかな?」
「えっと、雷門様の事は知ってます。テレビで訃報とか流れていたから」
あれは3年前だ。小学校の卒業式で、校長先生がその話題に触れていたから鮮明に覚えている。
でも、ギデオンって名前は聞いたことないな。
俺がそう言うと、お兄さんは「くっく」と含み笑いを漏らす。
「知らないのも無理はない。財団の代表であることを、あの人は表に出したくないみたいだから。自分が正義面するなんて反吐が出るって、この前会った時もひねくれていたなぁ」
お兄さんは楽しそうにそう言った。
分からないけど、そのギデオンさんって人とも知り合いなんだね、お兄さん。
「さぁ、着きましたよ」
お姉さんの言葉で前を見ると、そこは簡素なドアの前だった。そのドアの真ん中に、英語で何か書かれている。
何だろう?この部屋?
俺が英語を読もうと必死になっていると、お兄さんがその扉を開いた。
「済まない。少し待っていてくれ」
そう言って、お兄さんは中に入る。
そして、数分後に現れたお兄さんは、白地に黒い線が入ったパワードスーツを着ていた。
あれ?この鎧って、もしかして…。
「さて、行こうか」
お兄さんにそう言われて、俺達は再び歩き出す。
お兄さんの背中を見ると、そこには〈96番〉の数字が。
「くっ、黒騎士選手…!」
「うん?呼んだか?」
お兄さんが、いや、黒騎士さんが歩きながら、俺の方を見下ろす。
目だけ空いた鎧からは、紫眼の瞳が輝いているのが見えた。
うわっ。本当に本物の黒騎士じゃん。嘘だろ、俺…やべぇ、ああ、ヤバい。
「よぉ!ボス。遅かったな!」
俺がアタフタしていると、そんな声が前から聞こえてきた。
見ると、白銀の鎧に身を包んだ選手達が、こっちに手を振っている。
うわっ。今、声を掛けてくれた人って、シルバーナの鈴華選手じゃないか。その隣に居るのは、キャプテンの伏見選手。凄い!韋駄天の西風選手まで居る!
「遅れて済まん。ちょっと道草を食い過ぎてな」
「あん?そのガキンチョは誰だ?ボスの隠し子か?」
そう言って、俺を訝し気に見てくる鈴華選手。
うわっ。すげぇ美人だ。蒼波さんとか護衛のお姉さんも美人だと思ったけど、次元が違うぞ、この人。
テレビの加工じゃなかったんだな…と、俺は心臓を高鳴らせる。
そうしていると、突然目の前が光に包まれた。
「特大スクーープ!!」
「スクープじゃない!やめろ若葉さん。望月ウィークリーに流したりするなよ?また、巻島家の回線がパンクして怒られるのは俺なんだからな?」
カメラを構えたお姉さんに苦言を吐いた後、黒騎士さんは大きなため息も吐き出す。
「隠し子な訳ないだろ。一回りも違わないぞ?俺とこの子は。君達はどれだけ、俺の貞操を疑うんだ」
「せやで、2人とも。カシラが潔白なんわ、自分らが一番よう知っとるやろが」
伏見キャプテンがそう言うと、何故か後ろの西風選手や鶴海選手が顔を赤らめる。
えっと…なんで?
「この子は俺のエスコートキッズだ。俺と一緒に、フィールドまで付いて来てもらうんだよ」
あっ。エスコートキッズってそれか。サッカーとかの試合では見たことあるけど…ファランクスにもあったっけ?
「おっ。それ良いな。じゃあ、あたしも手繋いで、そいつがあたしらのガキって観客に思わせてやろうぜ」
「悪質な事を考えるな、鈴華よ」
「せやで。そんなんせんでも、観客はとうに分かっとるわ」
黒騎士さん達が楽しそうに話していると、係の人が「日本チーム、入場をお願いします!」と声を張り上げた。
「行くぞ、みんな」
「おう!」「うっす!」「うん」「「はいっ!」」
「頑張ってね!」
「ありがとう、若葉さん。さぁ、君も行くよ」
「はっ、はい!」
みんなと一緒に、俺はフィールドへの階段を上がっていく。
一段上がる毎に、心臓が飛び跳ねてしまう。なんだか、周りの空気がいつもよりも重い。
そして、
「「「「【【【わぁあああああああああああ!!!】】】」」」」
大歓声。
音が、熱と力を持って襲い掛かって来る。
その凄まじい衝撃に、俺の体は後ろに押されて、その場で足を止めてしまった。
手を引かれた黒騎士さんが、こちらを振り返る。
「どうした?」
「あっ、あの、怖くて」
「はっはっは。誰しも最初はそんなものだ。だが慣れないと、この世界に入って来れないぞ?少年」
軽く笑い飛ばす黒騎士さんに、俺は自然と首を振っていた。
そして、
「無理ですよ。僕は、その、Cランクの超遠視なんです。だから僕は、そんな、貴方の様には成れないというか…」
俺の口から次々と、弱音が零れてしまった。
すると、黒騎士さんが少しかがんで、俺と目線を合わせた。
「少年。えっと、君の名前を教えてくれるか?」
「えっと、一輝っていいます」
「そうか、一輝君。別に、俺の様になる必要はないぞ。君には君の未来がある」
「僕の、未来…」
俺が呟くと、黒騎士さんは「そうだ」と大きく頷く。
「だが、その未来が輝かしい物になるかどうかは、君次第なんだ。一輝君が自分とどう向き合っていくかで、世界が変わる。どんな世界に踏み出そうとも、それは変わらない。だから、諦めないで上を向いてくれ。こんなもんかと立ち止まらないでくれ。君の人生は、ここから始まるのだから」
「黒騎士、さん」
黒騎士さんは立ち上がり、俺に背中を見せる。
「見ていてくれ、一輝君。俺の背中を。底辺と言われた男が、天上に穴開けるその瞬間を、君のその目で」
黒騎士選手はそのまま、フィールドに入っていく。
それを見て、観客席は総立ちになる。みんなが拳を高々と掲げ、それに合わせて黒騎士さんも拳を振り上げた。
彼の人差し指が、天を指す。
声が、響く。
「世界に限界は!」
「「「「【【【【ねぇんだぜ!!!】】】】」」」」
観客達の声で、世界が震える。
俺の心に、小さな火が灯る。
そうだ。俺は、この世界で頑張ろうって誓ったんだ。
前の世界では何もできなかったけど、この世界では頑張ろうって誓ったんだ。
あの人に。あの人の大きな背中に。
俺は…。
記録は何時か物語となり、それは人々の間で語り継がる。
そして、ここでもまた、新たな物語が始まろうとしているのだった。
あとがき
読者の皆様。
大変。大変長いお話となってしまいました。
それにもかかわらず、ここまでお付き合い下さり、誠にありがとうございます。
「300万文字か。お前もよく、ここまで書いたな」
私1人でしたら、100万も書けませんでしたよ。
これも、皆様からの応援があったからです。皆様の暖かい心に支えられ、私は救われました。本当に、ありがとうございました。
蔵人さん達の人生はまだまだ続きますけれど、我々が覗き見するのはこのくらいにしておきましょう。
「あ奴らの子供世代や、書ききれなかった部分も気になるが、取り敢えずはここまでだな」
はい。そろそろここら辺の物を片付けないと、黒戸さんが帰ってきた時に大変な事にな…。
あれ?なんか、次元の穴が開いてますけど、何かされましたか?
「我ではないぞ」
えっ?
あっ…。
ヤバい。
逃げないと!
【ただいま戻り…うん?これはなん………おい…おいおいおい!いのせぇえええすっ!!】
「ふんっ。帰って早々、騒がしい奴だ。
あ奴らが遊んでいる間に、我は我の仕事をするとしよう。
ふむ。次はこの世界か。魔王?召喚魔術?中々に歪であるな。
ならば、そこの勇者に力を…なに?そんな者、要らぬだと?
ふんっ。愚か者め。後悔しても知らぬぞ。
では次に……ほうほう。なかなか見どころがある者が居るではないか。
良いだろう、少女よ。其方に、我が眷属を託すとしよう」
ブタ令嬢の試練
https://ncode.syosetu.com/n4143li/




