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437話〜剣術を嗜むとは思わなかったぞ〜

螺旋盾で殴ろうとすると、シンリー選手の姿は消えてしまった。

その直後、多くの歓声が頭上から振って来る。


『ベイルアウト!Cランク世界王者、劉・清麗選手がベイルアウトしました!勝ったのはこの人、黒騎士選手!日本の黒騎士が今、世界王者を打ち破りましたぁ!』

【【「「わぁああああ!!」」】】


『これは歴史的な瞬間ですよ、ええ。非公式とはいえ、清麗選手が11歳でCランクチャンピオンになってからこの5年、一度も負けたことがありませんでしたから。BランクやAランクにも打ち勝つ世界のジャイアントキラー。それを、異能力後進国と呼ばれていた日本が打ち破った。この功績は非常に大きい』

『本当に、これが公式の記録でないことが悔やまれます!』


「よくやったぞ!黒騎士!」

【なんてことなの、ブラックナイト!まさか、世界一位にまで勝ってしまうなんて!】

「流石はボスだぜ!」

「一生付いていきますさかい!」

【私も付いていきたいわ!ブラックナイト!】


興奮冷めやらぬ会場の声が、蔵人の鼓膜を揺らす。

いや、揺らしているのは周囲の声だけではない。蔵人の内側。そこでも、会場と同じくらいに心臓が高鳴っていた。

ドクンッ、ドクンッ、ドクンッと。


ギリギリの試合であった。

シンリーさんの異能力も強力で、1歩間違えればベイルアウトになる物ばかりだった。

加えて、彼女の特殊能力。人の殺気を感じ取るというのは、並大抵の鍛え方では備わらない技術だ。大自然の中で、死と隣り合わせの生活でもしないと出来ない野生の勘。

彼女は異能力だけでなく、生き物としての技巧も卓越した人だった。過酷な前世持ちのチーターでなければ、勝てない程の。


「「「くっろきし!くっろきし!」」」

【【【ブラックナイッ!ブラックナイッ!】】】


こうして皆から祝福されていると、試合が終わったんだという実感が込み上げてきて、嬉しさや達成感と同時に、痛みと疲労で体が鉛の様に重くなった。

使用した魔力量は、昨日の中国戦の方が多い。だが、今は精神的に疲弊していた。

彼女の特殊能力を暴く為に。またその野生の勘を克服するために、心を大きく削っていた。

正直、今この状態で目を瞑れば、3秒と待たずに眠りにつく自信がある。


ああ、いかん。ここで倒れたら格好悪い。せめて控え室で仮眠を取らせて貰うか。

蔵人は声援に答えながら、目の前に残っていたアクリル板を消す。


ああ、特別に分厚くした板だったのに、ヒビが入ってしまっている。やはり、この技は実用的ではない。本当に、彼女に気付かれなくて良かった。

蔵人はアクリル板を手に取り、ふっと短く息を吐く。


もしも気付かれたら、簡単に技を無効化されてしまっただろう。彼女の体術も相当な物だった。

まぁ、気付かせない為に一芝居打ったのだし、それだけの殺気を飛ばしたのだ。ちょっとやり過ぎて、シンリーさんは過呼吸気味になってしまったし、観客席にまで影響が出てしまった。

やっぱり、魔物以外に向けてはいけない技だ。


『見事な試合を見せてくれました黒騎士に、今一度拍手を!』

「「【【わぁああああ!!】】」」

「やったぜボス!世界一だ!」

「違うわよ、鈴華ちゃん。これはエキシビションマッチなんだから、公式にはならな」

「ええんやで、翠。公式でも非公式でも、カシラが世界一をぶっ飛ばっちゅう事には変わりないんやからな」

「そうだよ!やったねくら…く、く、黒騎士君!」

「流石は黒騎士様!見事な剣気でございました!」


蔵人が入場ゲートへと歩みを進めていると、真上から聞き覚えのある声が送られてきた。

そうして喜んでくれるのは有難いんだけどね、円さん。剣気なんて物を、俺が飛ばせると思うかい?


蔵人は声の方に手を振りながら、入口ゲートを潜り抜ける。

正式な大会であったら、ゲート付近にもスタッフ達が待機していて、控室や出口に案内してくれる。だが、今回は臨時のエキシビジョンマッチ、ゲートを潜ると誰も居なかった。

関係者以外入れない選手村の中だからね。スタッフは不足気味なのだろう。

さて、控室はどっちだったかな?と、曖昧な記憶を辿っていると、声を掛けられた。


「黒騎士殿」


誰かと思って声の方を振り返ると、白黒まだら模様の長髪を左右に揺らしながら、ゆっくりとこちらへ歩いてくる着物姿の女性が目に入る。


「真緒さん?」


その人は、柳生真緒さん。現日本Cランクチャンプであり、剣聖の名前で世界を渡り歩く剣豪。

そんな彼女が、こんなところに何をしに?


「どうかされましたか?真緒さん。もしかして、次の試合が組まれているんですか?」


エキシビジョンマッチが黒騎士VSシンリーだけの物かと勘違いしていたが、この後も幾つか組まれている可能性は高い。だって、観客も報道陣もかなりの数を集めているから、たった1試合を開いて終わりとするには労力を割き過ぎだ。

そう思って彼女に道を譲ろうとしたのだが、真緒さんはゆっくりと首を振った。


「次の試合は組まれておらんよ、黒騎士殿」

「そうでしたか」

「今のところは、な」

「うん?」


どう言う意味?

蔵人が眉を顰めるも、真緒さんはただ微笑んだ。


「見事であったぞ、黒騎士殿。儂らが敵わなかったあの清麗を、正々堂々と倒してくれた。叶わなかった儂らの望みを、こうして具現化してくれた」

「真緒さん」


まさか、それを言いに来てくれたのか?オリンピックで勝てなかった相手に、仇討ちしてくれたとでも思っているのだろうか。

エキシビジョンマッチとは言え、多くの人がこの試合を見ていた筈だ。それは、非公式な試合でも大きな影響を生む。ファランクスだけでなく、日本のシングル選手にも注目が行くようになる。それで、彼女はお礼を言っているのかも。

そう思いかけた蔵人だったが、真緒さんの目を見て思いとどまった。彼女の瞳はとても鋭く、そして危ない光をはらんでいた。

彼女の肩頬が引き上がり、歪な笑みを作る。


「しかし、まさか其方(そなた)が剣術を嗜むとは思わなかったぞ、黒騎士殿」

「うん?剣術?」


何を言っているのだ?

蔵人は訳が分からず、それをそのまま表情に出していた。

すると、真緒さんは歪な笑みを消した。


「とぼけるでないぞ、黒騎士殿。貴殿が先の試合で放った技。あれはまごうことなき、二階堂流平法の秘術、(しん)一方(いっぽう)であろう」

「ふぁっ!?」


二階堂?心の一方?

何を…この人は何を言っているんだ?

目を剥いて驚く蔵人。それに、真緒さんは口だけをひん曲げて、鋭い視線を向けて来る。


「何を驚いたふりをしておる。儂の方が、その何倍も驚いておるのだぞ?今は失われたと言われていた流派の極意。それを、剣士ではないお主が使えるとは夢にも思わなんだ」


口だけ楽しそうに笑いながら、真緒さんは帯刀していた刀を鞘ごと抜く。鞘を強く握りしめ、悔しそうに眉間を寄せた。


「知っておるか?黒騎士殿。儂らの流派、柳生新陰流はな、当時最強と謡われた剣術の筆頭じゃった。じゃが、それも直ぐに陰りを見せた。多くの大名達は、儂らの流派よりも二階堂流の方を持て囃しよった。かの使い手に教えを乞うた者は皆、歴戦の武士(もののふ)の如き力を得られたと触れ回り、新陰流から鞍替えする者も後を絶たなかった。あの剣聖、宮本武蔵ですら戦うことを避けたとされる幻の剣術。その流派は正しく、当時最強の剣術だったじゃ」

「は、はぁ…。いやあの、剣聖選手。私は剣術どころか、剣が使えないんですよ?使ったら最悪、自分に刺さる…」

「その秘術を使う剣士が、まさかこんな近くに居ようとは夢にも思わんかったぞ、黒騎士殿!」


聞いてない!人の話を全く聞いてないよ、この戦闘狂は。

蔵人は肩を落としてため息を吐く。


「それで?その最強の剣術という物を見たから、貴女も戦いたくなったという事でしょうか?」

「ふふふ。それが出来れば最上であるが、主はあの清麗と戦った後であるからな。そこまで我を通そうとは思うておらんよ」


おや?案外、常識的だな。


「じゃから、1度で良い。1度で良いから、あの技を儂にも掛けてくれぬか?」

「ええっと…その技と言うのは、貴女が言う心の一方って技…ですよね?」

「無論そうじゃ」


真緒さんは嬉しそうに頷き、口元だけ笑みを作る。


「見事、儂を金縛りに出来たのなら、儂はその流派を認め、黒騎士殿の流派として世に打ち出すと約束しよう」

「えっ?」


おいおい、勘弁してくれよ。

蔵人は血の気が引いた。

そんな事されたら、たまったもんじゃない。あれはどう見ても、二階堂流平法なんて立派な物じゃないし、どんなに上手くいっても、一般人を金縛り状態になんかさせられない。


「剣聖選手。期待して頂いているところ恐縮ですが、あれは剣術と呼べる物ではなく、貴女の様な武人に認めて頂ける代物では…」

「かっかっか!貴殿がそう言うのも仕方がない。その剣術が使われていた当時も、周囲は同じような事を申したそうだ。あれは剣術ではなく妖術だと。松山主水(もんど)は人のフリをした妖怪か、山から降りてきた天狗であるとな。

だが、それ故に認めさせねばならぬだろう。化学と異能が発達した今なら証明出来よう。その技が(あやかし)の幻術などではなく、人が苦労して編み出した技術であるのだと、この世に広く知らしめる必要がある!」


そう言って、蔵人の肩を掴む真緒さんの瞳は、先程よりも強く、怪しく輝いていた。

まるで夜空に映る天の川の様に、キラキラと期待と興奮で輝く瞳。


こいつは、不味い。

蔵人は固唾を呑む。

下手な技を掛けて、彼女のこの期待を壊してしまうのは非常に不味い。

彼女の不評を買ってしまうかも知れないし、もっと悪いと付きまとわれるかもしれない。本気を出していないだけだと、難癖を付けて再戦を繰り返されるかも。

かと言って、技が成功してしまうのはもっと不味い。あんな紛い物を心の一方だなんて広められたら、それこそ松山主水さんに申し訳が立たない。

史実と同じく、主水さんのファンに寝込みを襲われるやもしれない。


「さぁ()くぞ、黒騎士殿。儂はお主の技を見極めねばならん。それが、嘗て二階堂流平法と肩を並べた、柳生新陰流末代の宿命よ」

「剣聖さん。だから俺は…ああ、聞く耳を持ってなかったか」


全く、剣術の事となると、こうも頑固になるのだな。

蔵人は真緒さんに引きづられる様にして、さっき通った入場ゲートへと戻されていく。

そのまま、フィールドの真ん中で技を掛けさせようしているのだろう。今なら各メディアも帰っていない。知らしめるには絶好の機会だ。

さて、どうする?どうやってこの窮地を脱するべきだ?


蔵人が悩んでいる時、背後から蘭の香りが漂ってきた。同時に、期待で弾ませていた真緒さんの足が、ツルッと、足払いでも受けたかのように滑った。

そのままバランスを崩し、倒れそうになる真緒さん。だが、そこは剣聖。すぐにエアロキネシスで風を生み出し、宙返りをして地面に着地した。


【何をしているのかと思ったら、本当に、何をしているんです?剣聖選手】


振り向くと、そこには被り物からジト目を覗かせるシンリーさんが居た。彼女は変わらず、試合で汚れた漢服を着たままであった。

医務室に運ばれた筈だが…まさか、そのまま戻って来たのか?


「なんじゃ、清麗選手か。儂らは忙しいのじゃ。邪魔立ては無用ぞ?」

【いやいや。どう見てもお邪魔なのは貴女だと思うんですけどね】


どうやら、シンリーさんはこの異常事態を見て、止めに入ってくれたみたいだ。

大変ありがたい。


蔵人がシンリーさんに感謝していると、真緒さんがグイッと前に出てきて、蔵人を隠す様にシンリーさんと睨み合った。


「清麗殿。これは儂にとって…我が柳生新陰流にとって大事な事じゃ。黒騎士殿が使う絶技が、かの秘術であるかをこの目で見極める事がの」


だから、違うって言ってるのに。

蔵人が肩を落とすと、それをシンリーさんがチラリと見て、片頬をヒクヒクさせた。

そして、


【あー、あれはですね。貴女じゃ引っかからない技だと思いますよ】


シンリーさんが、ちょっと投げやり気味に言い放つ。

真緒さんの目が怖くなる。


「どういう事じゃ?」

【黒騎士選手の放った技で、確かに私は体が動かなくなりました。でもそれは、彼が剣気?を放ったからじゃなくて、彼の瞳が綺麗だったからです】

「…はぁ?」


気に抜けた声を上げる真緒さん。

蔵人もつい、同じような声を上げそうになった。

でも、堪える。彼女が何をするのか、冷静に見守った。


【私の家って元々、特区の端で農業をやってた口で、男性に全く免疫がないんですよ。今は今で、シングル戦にかかりっきりで、スタッフ以外の男性と話す機会もない。そんな時に、黒騎士選手みたいなイケメンにジッと見つめられちゃって、思考が止まっちゃんですよねー】


ディさんを思い出して吐きそうになる貴女が、何を言って…。

蔵人は笑いを堪えた。

全く、そう言って俺を庇おうとしているのか。自分に悪評が付くのも顧みず、俺の技の真意を隠そうとしてくれている。

そう分かるのは、蔵人だけだった。


「な、なんじゃと?そんな、そんな腑抜けた理由で…?」


シンリーさんの嘘を聞いた真緒さんは、瞳を大きく揺らして動揺していた。

有り得ないとか、それは剣術なのか?とかブツブツ言いながら、フラフラと何処かに去っていく。

蔵人は暫く、その背中を見送っていたが、慌ててシンリーさんに頭を下げた。


「ありがとうございます、シンリーさん。貴女のお陰で、厄介事から逃れることが出来ました。ありがとうございます。そして、ごめんなさい」

【良いですって、お兄さん。そんな謝らないで。もとはと言えば、中国チーム(うちら)が迷惑かけちゃったのが発端ですから。その罪滅ぼしみたいなものと思ってもらえたら】


シンリーさんは、本当に何でもない様にそう言って、蔵人に背中を見せた。

そのまま帰るのかと思って見ていたら、ちらっと顔だけこちらを振り返った。


【ああ、でも。また機会があったら再戦してくれると有難いです。お兄さんの金縛り、次は克服したいんでね】


そう言い残して、シンリーさんは去っていく。

世界一との再戦。また大変な約束を取り付けられたものだ。

蔵人は苦笑いを浮かべ、その背中を見送った。



「それで?あの幻術はどんな原理だったの?」


蔵人は控え室まで戻ってきて、若葉さんのインタビューを受けながら、彼女のマッサージを受けていた。

質問に答えるのは良いが、回復しながらにさせてくれと蔵人が頼んだのだ。

若葉さんは顔を真っ赤にしていたが、インタビューが進むにつれて何時もの調子に戻ってきた。

そして、さっきの質問だ。


「ああ。あれはね、こいつを使ったんだよ」


そう言って蔵人が生成したのは、アクリル板だった。

それを、カルラさんが怪訝そうに突く。


「…ただのEランク盾じゃねえか。これをどう使ったんだよ?」

「これを、こうするんだよ」


蔵人はアクリル板を操って、カルラさんの全身に貼り付ける。

そうすると、カルラさんは手も足も動かせなくなった。

いや、


「あぁ!?くっ、こんなもん…おらぁ!」


本気を出したら、あっという間に粉砕されてしまった。

それを見て、ドヤ顔を浮かべるカルラさん。


「なんだよこれ。こんなの、異能力を使えば余裕じゃねえか」

「ああ、そうだ。だから俺は、その前に殺気を飛ばしたんだ」


強烈な殺気を飛ばし、相手を動揺させる。すると、相手はその殺気に気を取られて隙を作る。その隙を利用して、このアクリル板を仕込む。そうすると、相手は殺気を飛ばされたせいで体が動かないと勘違いをして、更に動揺する。

精神が正常な状態だと、いくら透明なアクリル板でもバレる危険性があるからね。とことん、相手の動揺を利用した技と言える。

シンリーさんの場合、感覚が人よりも数段優れていたから、余計に動揺してくれた。だからその分、技の効果も継続時間も上昇したのだ。

もしもバレたら、今のカルラさんと同じく、簡単に処理されていただろうからね。


「はぁ…そう言うことかよ…」


話を聞いたカルラさんは、真緒さん並に落ち込んだ。

うん。どうした?


「殺気とか、Eランク盾とか、俺じゃ出来ねぇことばっかだ。それじゃ、俺は清麗には勝てねぇ」

「ああ、そう言うことか」


この戦いで、次の戦いの答えを求めていたんだったね。

蔵人は起き上がり、首を振る。


「確かに、彼女にトドメを刺した技は君では使えない。でも、この試合の過程、つまり敵意を抑えて戦う事は、君でも出来るんじゃないか?」


答えは無くてもヒントはある筈だ。そこから、カルラさんなりの答えを見つけてくれ。蔵人はそう言った。

すると、カルラさんは再び、大きなため息を吐いた。

うん。なんで?


「お前はすげぇよ、蔵人。そんな事まで自分で考えついて、実行出来る。そんなお前だから、あの清麗に勝てんだよ」

「何を言っているんだ、カルラさん。君たちの試合があったから、今日も勝てたんだぞ?」


真緒さんやカルラさんが戦った試合から、色々と得られたものがあった。

どんな偉人でも、先人達が残してくれた物があったから、成功を掴む事が出来た。

今回の、俺の様に。


「だから、君も出来るさ、カルラさん。俺が作ったこの道の先を、自ら作り出してくれ」

「蔵人…お前…」


感動したカルラさんが、蔵人の両肩を掴んだ。

そして、


「てめぇ、やっぱり俺の試合を見たのか。あぁ!?見んなっつったろうが!」


ああ、違う。感動しているんじゃな。

怒っているんだ!


「カルラさん、違うんだ!これは…」

「問答無用だぁあ!」


その後暫く、蔵人はカルラさんとの追いかけっこに興じる事となった。

余りに技術力が高過ぎて、武人からは剣術と勘違いされてしまいましたね。


「殺気だとか剣気だとか、我々には分からん力が飛び交っておったな」


清麗選手が居なかったら、新たな流派の剣術が出来るところでした。


「刀を己の腹に刺す、奇妙な剣術がな」


イノセスメモ:

心の一方…松山主水により作り上げられた謎の剣術。その原理も方法も伝わっておらず、現在では幻の剣術として伝わっている。曰く、どれ程の剣豪でも動きを封じられ、一方的に斬られてしまう。また、複数人にも掛けることが出来たので、江戸城前の交通整理に使われたり、船での競争中に相手の船を止める為に使われたという記録もある。本当に、妖術なのでは?

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― 新着の感想 ―
覇気が如く…腕黒くする方もいてたし剣聖様もそのうち刀を黒くできそう
微妙に違和感のある視線・動作・歩法・呼吸等によって相手の認知を混乱させ、錯覚によるパニック(障害)を 起こさせる、辺りが【心の一方】の術理解釈の一例ですかね… でもアクリル板の万能性には負けるw 既…
椅子に座っているときにおでこを抑えられると立ち上がれないって言うけど、それを殺気の混乱に透明な板で実行してくるのは強い。 黒騎士流切腹剣術は流石に可哀想……
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